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2007/10/30

legal culture:悪いことが発覚したら退職金の返還を求める

法律に則った行政がこの国では時として蔑ろにされるし、それが当然のような風潮だ。
既に退職し、退職金支給が終わった後に、倫理規定違反で懲戒免職相当だと分かった場合、後から懲戒免職処分を下すよう制度を改めるならともかく、そうはしないで「任意」で退職金の返還を受けて、それが「処分」だというのは全く非法的解決であり、恣意的の誹りを免れない。

もちろん前防衛次官の行状は許し難いし、贈収賄の確かな証拠を掴んで立件してもらいたい。
例の、ストーカーのあげくに自殺した警官に退職金が払われるような珍妙な制度を維持していることはないのであって、退職の事実が発生した後も、懲戒免職相当の事由が疑われるのであれば、遡及的に懲戒処分を施すことが可能な法改正をすればよい。ただし、遡及的に懲戒免職できるよう法改正しても、当の守屋氏について今から適用するというのはさすがに正義にもとるし、憲法上も疑わしい。
でもだからといって退職金の返還という、いわば守屋氏の好意にすがるような「処分」で片を付けようというのは誠に姑息である。

今回の防衛利権へのたかり構造をみて思うのは、倫理規定に反する形で利益を収受したら、その利益を強制的にはき出させるような制度が必要だということに加え、そもそもたかりが発生するような不透明さを排除する仕組みが必要だということである。
もっとも、出入り業者が賄賂を贈ればたちどころに判明するようなうまい仕組みなど、古今東西あり得ないのだが、少なくとも倫理規定による報告制度を全く守る気がない人がトップにいる組織だったことは否定しがたい事実である。

今の次官や高級官僚たちは、前次官と違うという保障はあるのか?
防衛利権にしがみつく商社は、前次官にだけ接待漬けにしていたのか? そんなはずはあるまいと、誰もが思うのではないか?
そうでないというのであれば、少なくとも前次官という物証が出てきた以上、今の人たちは接待漬けになっていないことの証明をしないと、疑いは消えない。

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コメント

>遡及的に懲戒免職できるよう法改正しても、当の守屋氏に
>ついて今から適用するというのはさすがに正義にもとるし、
>憲法上も疑わしい。
>でもだからといって退職金の返還という、いわば守屋氏の
>好意にすがるような「処分」で片を付けようというのは
>誠に姑息である。

んじゃ、どうすればいいんだ?
学者は考えるのが仕事だから、ずっと悩んでればいいさ。
防衛官僚も頭いい人だから、そんなこと端からわかってるさ。
でも今回の一連の件で、何もアクションを起こさないのが一番いけない。
防衛省の措置にもっと前向きなコメントはできないものですかね?

投稿: 官僚の味方ではないけどさ | 2007/11/01 23:51

端的に、退職後発覚した懲戒事由を理由に、遡って処分が可能なように制度改正すれば良いと思います。
その制度がないのに、好意にすがって自主返納を求めるというのは、弥縫策に過ぎないし、法的責任の問題なのに事実上の圧力で言うことを聞かせようとするのは不当なやり方でもあります。
懲戒事由の遡及適用を制度化する機会はこれまでも何度もあったのに手をこまねいて、正邪をはっきりさせないやり方でお茶を濁すのは不当の極みといっても過言ではありません。

投稿: 町村 | 2007/11/03 10:58

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