arret:川崎保育園指定管理者制度適用
川崎市の保育園に指定管理者制度が導入され、社会福祉法人にいわば委託されたことにより、保育園児たちのケアが不十分・劣悪なものになったという理由で、その執行停止を求めた事例である。
一審に続いて本決定も、請求を棄却した。
理由は、保育士が全員交代することや経験の乏しい保育士に替わること、現実に生じている園児同士のトラブル増加、赤ちゃん返り、紙を口に入れた園児が放置されたことなどは、園児の健全な生育にとって大したことではなく、それなりの引き継ぎ措置や元園長が巡回するなどの工夫でカバーされていることである。
この当否は10年後、20年後に明らかになることだろう。
追記:hrkcさんのご指摘により、間違いを何点か修正しました。
ご指摘有り難うございます。これからもよろしく。
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コメント
いつも興味深く拝見しております。
引用されている東京高裁平成19年3月29日のPDFは、執行停止申立て(行訴法25条2項)に対する一審の却下決定を不服とした抗告(行訴法25条7項)の棄却決定なので、「東京高決…」になるのではないでしょうか。
また、上記の通り抗告を棄却しただけで取消請求を棄却したわけではなく、決定文にあるように本案は別にあり、判決自体はまだなのではないかと思うのですが(決定が3月なのでもう出ている可能性はありますが)。
投稿: hrkc | 2007/10/11 16:55
ご指摘の通りで、間違いを直さなければと思っておりました。
投稿: 町村 | 2007/10/11 17:00
コメントありがとうございます。
横浜地裁・保育園ということで、事情判決の出た横浜市立保育園廃止処分取消請求事件(横浜地判平成18年5月22日)と似ていてまぎらわしい所ですが、民営化・民間委託の流れは止まらないということでしょうか。決定文を見ると本案もなかなか厳しそうですね…。
先生のブログは勉強になる記事が多いのでとても重宝しております。これからも期待しています。
投稿: hrkc | 2007/10/12 18:55