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2007/10/04

arret:ピーターラビット著作権不存在確認請求事件

大阪高判平成19年10月02日(PDF全文)

ピーターラビットの絵柄について日本で著作権管理をしている会社に対し、著作権の期限切れによる差止請求権の不存在確認と、著作権者として振る舞うことを不正競争防止法に基づいて差し止める請求をした事件。

原審は、差し止め請求権の不存在確認を認容しつつ、差し止めおよび損害賠償請求を棄却した。
双方控訴に基づく本判決は、原審判決を支持した。

著作権に基づく差止請求権の不存在に関しては、実は争いがなかった。そして被告は著作権者と自称したこともないし権利行使をしたこともなく、また原告も商品企画段階で侵害行為をしていないのだから、差し止め請求権不存在確認の訴えの利益は認められないというのが被告の付帯控訴理由であり、この訴えの利益の存否が問題となった。不正競争関係は省略。

詳しい事実関係が一審引用となっているので、いまいち分からないのだが、原告の法的地位への危険・不安の現存を基礎付ける事実としては、以下の部分が該当する。
「1審被告が表示させている本件C 表示は,本件絵柄とそうでない二次的著作物を何ら区別することなく,包括的に著作権を表示するものとなっているなど,実際上の機能として本件絵柄の原画について未だ著作権が存続しているとの印象を与えるおそれのあるものであり,1審被告はこれを前提にその侵害に対しては断固たる法的措置を執ることを言明しているものであって,少なくとも外観上,1審被告が自己又はライセンシーの名の下に,自らの判断で又はFW社の指示によって原告製品にある本件絵柄につき著作権に基づく差止請求権を行使するおそれがないとはいえない。」

また商品企画の段階でも、原告の取引先が被告の著作権行使を慮って取引に応じないなどの影響が出ているのであるから、まさに原告の法律的地位に危険・不安が生じているわけである。

被告の態度は、自己の権利の範囲を明確にしないまま他人の行為にブラフを仕掛けておきながら、いざ権利の及ばない範囲を明確にせよといわれると、その部分については権利を有していたといったことはないと言い出す、というものである。

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