WIKI匿名の卑怯者はお役人様
かねて話題のWIKISCANNERで多くのWIKIPEDIA記事が役所内の端末から書き換えられていた件が、朝日新聞の一面を飾った。
問題点を思いつくまま列挙する。
・ネットの匿名性に対する幻想
・中央省庁の官僚までもが足が着かないと思いこむリテラシーの低さ
こりゃウィルスで機密情報ばらまいたりする奴がいるわけだ。
でこういうレベルの方々が情報政策立案にも携わっているんか!?
・中央省庁が世論操作をやっている事実
特筆すべきことではないかも。組織ぐるみという証拠はないが、そうでないという証拠もない。課のレベルくらいなら書き換えに明示黙示のコンセンサスがあることもあろう。
それに、まぬけでない職員は、同じことを民間プロバイダからアクセスして、あるいはネットカフェからやっているであろう。
・今後ウィキペディアに官僚の関与がなくなるのか
匿名でしか書けない情報操作をしたり、都合の悪いことを削除して隠蔽しようとするから問題なのであって、他の参加者同様専門的知見を書き込んでくれること自体は、中央省庁の官僚であっても歓迎のはず。ところが今の動きは、書き込み禁止の方向に進みそうな感じである。 まあ公式見解や公の情報は各省庁のWebに乗るから、それを見ればある程度はよいが、公式ページに乗るまで行かない暫定的情報や違法でも秘密でもないがおおっぴらにはいえない情報がウィキペディアの項目にピンポイントで掲載されるのは良いことだ。
省内から書き込めないシステムにしてしまえば、そうした機会がなくなり、職員が個人のアカウントやネットカフェからかきこむ質の悪い可能性がより高い情報ばかりになるのは残念だ。
もともと役所は隠蔽しようとする傾向の強いところであり、今回のことはその格好の口実になってしまうおそれがある。
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コメント
http://www.asahi.com/culture/news_culture/TKY200709070389.html
で読めます。
投稿: kissless | 2007/09/08 19:23
> 公式ページに乗るまで行かない暫定的情報や違法でも秘密でもないがおおっぴらにはいえない情報がウィキペディアの項目にピンポイントで掲載されるのは良いことだ。
…wikipediaの主旨に反するので…。
投稿: rijin | 2007/09/09 01:56
記事中ですが
>ネットでは匿名が保障されるという幻想があった。ウィキスキャナーは、匿名ゆえの無責任な書き込みに対する一定の抑止力になる可能性がある
といっても、回避潜脱手段はいくらでもありますからね・・・まあ、なんといいますか犯罪組織のいたちごっこと同じですし。IPだけで匿名幻想から離れられるって言うのは、どうかと。
あと、中央官庁だけではなくって、情報の発生媒体となりえるものはすべて(といっても規模が大きすぎるので少なくとも多少なりの影響力を持つものですが)、同様の問題を抱えているといえるでしょう。wiki自体にもその問題があるのは、アメリカで散々問題になっていたような。
投稿: こう | 2007/09/09 13:48
もともと徹底した性善説に立つ存在だけに、現実の歪みが表面化するのは避けられず、この件で直ちにWikiにダメとか良いとかの評価を下してしまうのは早すぎると思います。
投稿: 町村 | 2007/09/09 14:08
>この件で直ちにWikiにダメとか良いとかの評価を下してしまうのは早すぎると思います。
その通りです。
言いたかったのは、例えば、某新聞社の記事の内容を擁護するために、その某新聞社に所属する記者がブログ上で、自分の所属を明らかにせずに「記者」なる肩書きを利用して当該新聞を一方的に擁護するブログ記事を挙げるような、そういう事態が存在しているのが現状なので、問題としては、別に中央官庁に、さらに言えばwikiに、限った話ではないと思うわけです。
端的に言えば、朝日の記事がしれっとして、中央官庁とwikiだけを取り上げるというのはどうかと思うわけです。新聞社だって情報操作を行っている可能性は大いにありうるので。
投稿: こう | 2007/09/09 15:15
中央省庁だけが特別視されるのは、法的にはやむを得ないでしょう。
なんと言っても公権力に属する人が公の設備を使って、民間の言論に介入しているわけですし。
話としても、情報発信力のある人が、いわば市井のアゴラとも落書ともいうべきところで、こっそり世論操作をはかったというところがいじましいというかなんというか。
もちろん朝日の記者がこっそりウィキペディアの朝日に不名誉な記述を削除したりナベツネの悪口を書いたりしたのがばれれば、同様でしょう。
何はともあれ、言論がシュリンクするのは残念です。
投稿: 町村 | 2007/09/09 15:37
>中央省庁だけが特別視されるのは、法的にはやむを得ないでしょう。
法的にはそうなんですが、事実的、ないしは社会的・政治的な問題としては、マスコミ(だけには限らないのですが)にも問題は存在するというか、特に情報が捏造とまでは言わないまでも特定の方向に都合の良いように構築されてゆくことへの警戒はあるべきだと、個人的には思っています。情報が存在しなければ、それはなかったことと同義とされてしまいますので。かといってデマが存在してしまっても、問題ではあるのですが。
>何はともあれ、言論がシュリンクするのは残念です。
そうですね。
投稿: こう | 2007/09/09 15:49
「予算がないので各自が私費でコンピュータ買って持ち込んで仕事する」なんて慣習がつい最近まであった組織にリテラシーも糞もないと思います。
自衛隊がwinnyでの漏洩にあわてて急遽すごい台数を調達したのをお忘れですか?
投稿: kumakuma1967 | 2007/09/09 18:35