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2007/09/11

univ:学士力の認定

Nikkei.net:大学卒業厳格に、中教審案・「学士力」導入、認定試験も

中教審の小委員会では、大学の卒業認定を厳格にして質を担保するため、学士力なる水準を設け、認定試験も視野に入れているとのこと。

学士力に必要な能力とは次の4分野
(1)専門分野の基本知識を身につけ、歴史や社会と関連づけて理解する「知識・理解」
(2)日本語と外国語を使って読み・書き・聞き・話しができるなど、社会人生活で必要な「汎用的技能」
(3)協調性や倫理観などの「態度・志向性」
(4)これらを活用して課題を解決する「創造的思考力」

この中でひときわ目を引くのは(3)である。
一体協調性とか倫理観とかは、大学教育の目的なのか?

倫理観は、例えば医者や弁護士のような専門職が要求される●●倫理とかなら分かりやすい。
しかし一般の学生が身につけるべき倫理とはなんであろうか?

法学教育なんて、一般には倫理教育と同視されているかもしれない(刑罰が科される行為とはどういう行為かを学んでいると思われているであろうから)が、当の刑法では、どんなに反倫理的なことでも法律で禁止されていなければ罰せられないということを叩き込まれるのである。世間から言うと、反倫理教育かもしれない。

契約法は、契約は守られるべしとの格言を当然のこととしていたり、信義誠実が重要な役割を果たしたり、倫理的に見えるかもしれないが、契約を破る自由というタームも同時に習うのだ。

学問的な倫理ということであれば、確かに学生といえども身につけるべきだが、それが社会に学士として認められる内容と一致してるのかどうかは疑問がある。

協調性に至っては、大学生活の中で培われる場合もあるだろうが、逆に協調性のなさが重んじられる場合もある。バカが自説にこだわるのは単なるバカなのだが、こだわる自説を持たないのはバカ以前の存在でしかない。

まあ、(3)については突っ込みどころだとしても、その専門分野を学んだと言えるためには最低限身に付いているであろう知識とか能力というのは、最低限のレベルならコンセンサスを得られるかもしれない。
例えば法学部を卒業する際には、罪刑法定主義とか契約自由の原則とか過失責任主義とか、最低限知っておくべきレベルの基礎知識というのはある。知識としては知らなくても、基本的な理解から推論できる能力も、専門のそれぞれに要求されてよい。

しかし、高卒資格試験がバカロレアというのであれば、大卒資格試験はアホロレアとかいう名前になるのだろうか?

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コメント

まぁ中教審に巣くっている連中がアホだということでしょう。

投稿: 酔うぞ | 2007/09/11 07:37

学士力とは違うかも知れませんが
こんな事件↓に引っかからない&事件に荷担しない程度の能力はあっていいですよね。
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/jiken/news/20070911k0000e040064000c.html

学士力認定の試験制度でも作って,それを文科省さんの利権にしようってことですかね。法曹養成制度は,あんまりおいしくなかったから。

投稿: h | 2007/09/11 12:46

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