trial:取り調べのご都合可視化が証拠になる
検察庁が取り調べの一部をビデオにとるという方針を発表した際に、このブログでも「NEWS:取り調べの瑕疵化?」という記事で、「バカじゃないのか?・・・検事が都合のいいシーンだけを選んで撮影し、これこの通り任意性がありますよという証拠にするつもりのようだ。」と指摘した。
今日のニュース「裁判員制度、取り調べ録画DVD 弁護側反発「都合よく撮影」」
東京地裁では被告が取り調べで自白した状況を録画したDVDが証拠採用され結審したが、弁護側は「都合のいいところだけ撮った」などと猛反発している。
・・・
山本被告は公判では犯行を全面否認しているが、検察側は19日の論告で「DVDの中の被告人の供述態度と、公判廷での態度を比べれば、どちらが真実を語っているのかは一目瞭然(りょうぜん)」と述べ、映像の力を強調した。
このような事態は当然予想されたのに、当時は可視化に向けて一歩前進との受けとめ方もあった。
検察が胸を張って映像の力を強調するためには、それが都合の良いところだけを切り取ったものではないことを立証する必要がある。その立証は簡単で、取り調べを最初から最後まで撮影しておけばよい。
長すぎて参照するのが困難になるということであれば、サムネイル画像によるインデックスを自動的に作ればよい。その程度の技術は十分実用的なものとなっている。
客観的には、映像に強い訴求力があることは疑いないだけに、余計にその恣意的な選択によるミスリードの危惧が大きいのである。
| 固定リンク
「法律・裁判」カテゴリの記事
- Arret:欧州人権裁判所がフランスに対し、破毀院判事3名の利益相反で公正な裁判を受ける権利を侵害したと有責判決(2024.01.17)
- 民事裁判IT化:“ウェブ上でやり取り” 民事裁判デジタル化への取り組み公開(2023.11.09)
- BOOK:弁論の世紀〜古代ギリシアのもう一つの戦場(2023.02.11)
- court:裁判官弾劾裁判の傍聴(2023.02.10)
- Book:平成司法制度改革の研究:理論なき改革はいかに挫折したのか(2023.02.02)
コメント
この産経の記事は,産経のサイトでもizaでも公開されていないのに,ヤフーでは公開されている。全く気付かなかった。
新聞社にとってコンテンツがブランドを作るのに,コンテンツをどこで公開するかの統制(≒ブランドの統制)が取れていない。営業は営業,編集は編集。結局,産経はまともな人材が営業と編集の調整部署(兵站?)にいないのだろう。そんな有様でMSと組んでも,使い捨てにされて終わりでは?
投稿: kissless | 2007/09/25 21:20