politique:死刑自動執行主張の法相が留任
もう最後だと思っていいたいことを言ったのかもしれないが、次のような発言を鳩山邦夫法務大臣がしている。
{(死刑執行の現状について)法相によっては、自らの気持ちや信条、宗教的な理由で執行をしないという人も存在する。法改正が必要かもしれないが、法相が絡まなくても自動的に執行が進むような方法があればと思うことがある」
「「死刑判決の確定から6か月以内に執行しなければならない」という刑事訴訟法の規定について、「法律通り守られるべきだ」
「(執行の順番の決め方についても、)ベルトコンベヤーと言ってはいけないが、(死刑確定の)順番通りにするか、乱数表にするか、そうした客観性がある何か(が必要)」
思い起こせば、というほど遠い昔でもないが、新司法試験合格者が3000人というのは多すぎるという発言に関連して、「難しい試験を通った人たちだから信頼される、そう言う文化が日本にはある」という物言いもしていた人だ。
鳩山氏が新司法試験合格者の人数に関して「法科大学院の経営問題は重要でない」という趣旨のことを述べた点は評価するが、合格者を少なく設定することをもって難しい試験といってしまうところも、また難しい試験を通った人たちだから信頼されるといったナイーブな権威主義も、法務大臣としては相当にイタい人物である。
この人を法相に再任するのか・・・。
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コメント
鳩山法務大臣の発言もさることながら、私は法学の世界他の分野と比べても自体権威主義的な要素が強すぎると思います。学説においては「何を」主張したかではなく「誰が」主張したかが重要だなんて見方もあります。
慶應法科大学院の漏洩問題が問題になったとき前の法務大臣は「権威を持った先生に問題を作ってもらうことも大事」などと発言して現職の法科大学院教授を考査委員に任命することを正当化していましたが、そもそも司法試験に「大学院」とか「法科大学院教授」といった「権威」を介在させる必要があるのでしょうか。司法試験は実務家登用試験に過ぎず、実務家にふさわしい能力を有するか否かを判定するものある以上、考査委員に「法科大学院教授」といった「権威」など全く不要であり考査委員は全員実務家で問題ないと考えます。
法科大学院の教育から司法試験が乖離しないために考査委員は法科大学院の教授がふさわしいという意見もありますが、司法試験法第1条には「司法試験は、裁判官、検察官又は弁護士となろうとする者に必要な学識及びその応用能力を有するかどうかを判定することを目的とする国家試験とする。」とあります。司法試験は「法科大学院における教育の成果を問う試験」ではなく、法曹となるのに必要な学識及びその応用能力を有するかどうかを判定する試験であり、法科大学院はその能力を養成するための一手段に過ぎないことは法文からも明らかです。つまり、法科大学院の教育に司法試験を合わせるのではなく、司法試験が求めている法曹に必要な学識及びその応用能力を有するように法科大学院の側がそれに対応した教育をすることが求められているということでしょう。
以下は私の憶測なので聞き流してもらって結構です。私は法科大学院の教育から司法試験が乖離しないためにという理由はあくまでも建前で本音は法科大学院やその教授の権威を保つためにそのような主張をしているのではと考えています。考査委員から法科大学院の教授を外すと学生が教授の講義を聴かなくなるので困ると。さらに言えば法科大学院制度自体、法曹志望者を予備校から大学に取り戻し、大学の権威を回復させるための制度という側面もあるのかなとも考えています。競争原理からいえば法科大学院だけが唯一のプロセスである必要はなく、独学や予備校も含め法曹になるためのいろいろなルートを設けてそれらが相互に競争し、評価は現場の実務家や顧客に委ねるという考え方もありますから。
偉そうな事を言いましたが(喧嘩を売るつもりは全くありません)、「権威」を資格試験や制度の正当性の根拠にするような封建的な発想はいかがなものかと鳩山発言を聞きながら思いました。
投稿: ぎゃーす | 2007/09/27 00:47
ぎゃーすさん、参考になる書込みありがとう。
投稿: 町村 | 2007/09/27 11:39
こちらこそ偉そうなコメント失礼致しました。
合格者数問題で揉めるのはやはりあらかじめ定員(しかも法務省の裁量の幅が大きい)を決めているからなんでしょうね。他の資格試験のように事前にあらかじめ合格最低ラインを決めておけば受験生の側も対策や指針が立てやすいだろうし、合格者数が多かろうが少なかろうがそこまで揉めないでしょうから。
投稿: ぎゃーす | 2007/09/27 20:43