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2007/08/31

jugement:チャップリン映画格安DVD差し止め

東京地判平成19年8月29日(PDF全文

The Chaplin Collectionの差し止めが命じられた事例である。

著作者がチャップリン個人だというのであれば、仕方なさそうだ。

判決文中では、国際裁判管轄についても、以下のように判示されている。
「本件は,リヒテンシュタイン公国において設立された法人である原告から,日本法人である被告らに対する,英国国民であったチャップリンの映画作品の著作権の侵害に基づく訴えであり,国際裁判管轄が問題になるところ,被告らが日本法人であることや,我が国で裁判を行うことが当事者間の公平,裁判の適正・迅速を期するという理念に反する特段の事情は認められないことから,日本の裁判所の国際裁判管轄が認められる。」

この点と準拠法とは、争点となっておらず、職権調査として判示したのかもしれないが、その必要のある部分なのかどうかは疑問なしとしない。

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コメント

>著作者がチャップリン個人だというのであれば、仕方なさそうだ。

すんません、この部分を説明していただきたいのですが・・・。
(映画の著作権は良く分からない)

投稿: 酔うぞ | 2007/08/31 00:40

とりあえず、判決文から該当箇所を抜粋します。

「昭和45年法律第48号による改正前の著作権法(以下「旧法」という。)において,映画の著作物に関し,誰が著作者となるのかという点については,著作権法16条のような規定が存しないことから,解釈に委ねられていた。しかしながら,旧法において映画が保護を受けることとなる改正がされた際の立法担当官は,映画監督が著作者になるとの見解を示しており,また,映画の著作者は映画の製作,監督,演出,撮影,美術等を担当してその映画の著作物の全体的形成に創作的に関与した者をいうとの判断を示した裁判例もあり,現行法と同様,本件9作品についても、監督等であるチャップリンが著作者である。」

投稿: 町村 | 2007/08/31 00:54

第三条【保護期間−生前発表著作物】
1 発行又ハ興行シタル著作物ノ著作権ハ著作者ノ生存間及其ノ死後三十年間継続ス
2 数人ノ合著作ニ係ル著作物ノ著作権ハ最終ニ死亡シタル者ノ死後三十年間継続ス

第六条【同前−団体著作物】
官公衙学校社寺協会会社其ノ他ノ団体ニ於テ著作ノ名義ヲ以テ発行又ハ興行シタル著作物ノ著作権ハ発表又ハ興行ノトキヨリ三十年間継続ス

だからです。なお、チャップリンの場合、映画製作者兼監督兼脚本家兼主演俳優なので、かなり特殊です。

投稿: 小倉秀夫 | 2007/08/31 01:17

死亡後30年を取ると、全作品の著作権が一斉に保護期間が終了する。
興業後30年とすると、個々に作品の保護期間が異なる。

ということなりますね。

問題になったDVDに収録されていたのは「1919年から1952年に公開された9作品」(新佃島・映画ジャーナルより)だそうですから、いったい何を規準にどういう判断になったのだろうか?

チャップリンが亡くなったのは、1977年だそうだから死後で勘定すると現在でもまだ30年は経っていないんですね。
業者は「興業後」で計算したのでしょうか?

ところで、適用になったのは日本の著作権法なんですかね?
もう、根本的に分からなくなってきた。

投稿: 酔うぞ | 2007/08/31 08:51

旧著作権法上の保護期間は、現行著作権法への移行が予定より遅れた関係で、38年間になっています。

投稿: 小倉秀夫 | 2007/08/31 09:10

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