jugement:特許権専用実施権者の破産
健康器具の特許権者Aが、B社に専用実施権を与える設定契約を締結した。ところがB社は破産し、管財人Cが選任された。Aは自ら特許対象の器具を製造販売していたので、CがAにその差し止めを求めたのが本件。
Bは、専用実施権設定契約が通謀虚偽表示で無効だと主張するとともに、B社が破産したので専用実施権設定契約で定められた実施義務が履行不能になったとし、契約解除を主張した。
第一の通謀虚偽表示の主張については、そもそも通謀虚偽表示かどうか怪しいとしつつ、仮にそうだったとしても、ロースクールで破産法を学んだ学生さんなら誰でも分かるはずの理屈で被告の主張を退けている。
第二の点は、専用実施権設定契約に実施義務が定められていたとは言えないとして、退けている。
後者の点は、さらに様々な問題点があり、対価の支払いは定められていなかったということも判明している。
こうなると、やはり通謀虚偽表示としての設定ではなかったかという疑問も生じるし、仮にそうだとすると、そのように名義だけの権利を有していたことを奇貨とする権利主張はどうなのか、という疑問も生じる。
破産財団(債権者)の利益との対比において考えるしかない。
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