DV逆襲殺人に警察は「対応適切だった」
読売Online:警察にDV相談していた妻、離婚口論で「夫殺した」と自首
記事によると、今月4日に3年前からのDV被害を相談してきた妻に対し、「被害届を出せば捜査する」といい、「そこまでするのは」と妻がためらって帰ったという。
(以下、上記の記事が正しいと仮定しての話)
そして今回、 離婚をめぐる口論の末、妻が夫を電気コードで絞め殺してしまった。
これに対して警察は、脊髄反射的コメント「相談時に助言しており、対応は適切だった」
何か問題が発生するたびに、役所サイドから、ほとんど常套用語のように発せられるのが「対応は適切だった」という言葉だが、これはやめた方がよい。
そのような言い方をしたからといって責任を免れることはできないし、逆に申し訳けなかったといったからといって法的責任が発生するわけでもない。ただ、こういう言い方を聞くと、「無責任・責任逃れ」という印象だけは確実に伝わってくる。
それにこの事件ではDV被害を訴えてきた妻に対し、一定の対応はしたが、その後は放っておいたのであろう。こういうのをお座なりな対応というのである。まあ具体的な事情がわからないので、もしかしたら「放っておく」のが適切な対応となるケースだったのかもしれないが、結果的にその対応は重大事件の未然防止、あるいは悲劇の防止に失敗したのである。
今、DVに対しては、自治体も、NPOも、医療機関も、そして警察でも、様々な取り組みがなされており、DVという現象が察知できれば、その被害を受けながら助けを求めることすらできないでいる被害者を救出するために尽くせる手は尽くすべきなのである。
それが、「被害届を出せば捜査するけど」といって帰して、他に何もしなかったのであろうか? 自治体のDV対応部署に連絡すらしないのか。
網干署の永嶺栄満副署長はDV防止法の次の規定を100回書いて署内に張り出してはどうか?
「第八条 警察官は、通報等により配偶者からの暴力が行われていると認めるときは、警察法、警察官職務執行法その他の法令の定めるところにより、暴力の制止、被害者の保護その他の配偶者からの暴力による被害の発生を防止するために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。」
なお、兵庫県警察の本部長や署長も、8条の2を100回清書すべきであろう。
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コメント
>申し訳けなかったといったからといって法的責任が発生するわけでもない。
そうなんでしょうか?法律の素人としては驚いています。
後で、「責任を認めた」とか「過失を認めた」証拠とされないのでしょうか?
逆に、「申し訳なかった」という言葉が責任や過失を意味しないのであれば、遺族にとって何と「空虚」な言葉でしょうか。
投稿: そうですか | 2007/08/31 10:05
例えば学校の事故で生徒が死亡したとして、学校側が次のようにコメントしたとします。
「ご両親の気持ちを考えると、大変申し訳なく思う。何が問題だったか、校長も含めて学内で協議したい」
被害者遺族にとって、たとえ法的責任の所在とは別だとしても、空虚ではないでしょう。
投稿: 町村 | 2007/09/02 12:24