arret:ブルドック買収防衛策が適法とされた事例
本判決は、差別的な新株予約権の割当について、一般論として次のように判示した。
「株主平等の原則は,個々の株主の利益を保護するため,会社に対し,株主をその有する株式の内容及び数に応じて平等に取り扱うことを義務付けるものであるが,
個々の株主の利益は,一般的には,会社の存立,発展なしには考えられないものであるから,
特定の株主による経営支配権の取得に伴い,会社の存立,発展が阻害されるおそれが生ずるなど,会社の企業価値がき損され,会社の利益ひいては株主の共同の利益が害されることになるような場合には,
その防止のために当該株主を差別的に取り扱ったとしても,
当該取扱いが衡平の理念に反し,相当性を欠くものでない限り,
これを直ちに同原則の趣旨に反するものということはできない。
そして,特定の株主による経営支配権の取得に伴い,会社の企業価値がき損され,会社の利益ひいては株主の共同の利益が害されることになるか否かについては,最終的には,
会社の利益の帰属主体である株主自身により判断されるべきものであるところ,
株主総会の手続が適正を欠くものであったとか,判断の前提とされた事実が実際には存在しなかったり,虚偽であったなど,判断の正当性を失わせるような重大な瑕疵が存在しない限り,当該判断が尊重されるべきである。」
本件では、株主総会で大多数の賛成を得ていること、そして買収者側が新株予約権に見合う対価を受け取れることから、衡平の理念を害するものでもないとした。
著しく不公正とはいえないとの判断も、上記株主平等原則に反しないとの理由に加え、今回の措置が予め定められていなかったとしても、緊急の措置としてとられたことや、買収者側への対価が設けられていることから基礎づけられている。
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