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2007/07/15

supreme court:裁判迅速化に関する報告書

最高裁判所は、そのウェブサイトにおいて、裁判の迅速化に係る検証に関する報告書(概要pdf,報告書目次)を公表した。

前回の報告では専門訴訟が長期化の傾向にあることを問題視していたが、その点はどうなったか?
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専門訴訟の平均審理期間は,医事関係訴訟が25.5月,瑕疵主張のある建築関
係訴訟が22.4月,知的財産権訴訟が12.1月,労働関係訴訟が12.5月,行政事
件訴訟が14.4月である。
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ということで、必ずしも迅速化には向かっていないようである。
また調停の活用ということもずいぶん言われたが、「瑕疵主張のある建築関係訴訟のうち調停に付された事件の割合は31.3%であり,平均調停期間が14.4月,平均調停期日回数が10.4回となっている。調停に付された事件の平均審理期間は28.5月であり,調停に付されなかった事件の平均審理期間(19.7月)と比べて長くなっている。」ということであり、単純に迅速化だけを目標とするなら、逆効果とも言えそうである。

もっとも、こうした一面的な評価では裁判の現実を評価したことにはならない。もう少し具体的な結果について考えてみる必要があろう。

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コメント

これを報じた朝日新聞の記事には,民事訴訟の迅速化が頭打ちになっているのは,「弁護士が忙しくて準備ができないことが一因とみられる」と指摘されていた。従来から伝え聞いていることだが,報告書の中には指摘がないようだ(ざっと読んだところでは)。
今後,弁護士も急増するし,事務所維持問題はますます切実になっていくのでしょうかね。

投稿: kissless | 2007/07/17 08:08

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