jugement:執行による不法行為
保証人に対し、執行証書に基づいて銀行預金の差押えをしたが、利息制限法の制限利率に引きなおせば主債務がなくなるということ、さらには過払い金が発生している状態で、他の貸金債権の残額を受働債権として過払い金返還請求権を自働債権とする相殺の意思表示がされるであろうことを認識しうべきにもかかわらず、漫然と執行して、損害を与えたので、不法行為責任が成立するとされた。
ただし、25万円の損害賠償のみ認容されたものである。
主債務者について過払い金が発生している状態では、保証人に対する強制執行も不法行為になる。
「債務名義を有する債権者が強制執行の挙に出ることは,その権利の行使として一般的に是認されるところではあるが,権利の行使といえども信義誠実の原則に反するものであってはならないことはいうまでもない。よって,当該債務名義の性質,前記債務名義により執行しうるものとされた権利の性質及び内容,前記債務名義成立の経緯,債務名義成立後強制執行に至るまでの事情並びに強制執行が当事者に及ぼす影響等諸般の事情を総合考慮して,債権者による強制執行の申立てが,著しく信義誠実の原則に反する場合には,違法性を有し,不法行為を構成する」
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コメント
25万円はやすいですねえ。抑止力としてはあまり意味がないでしょう。懲罰的損害賠償が必要ですなあ。
投稿: madi | 2007/07/10 02:51