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2007/07/11

jugement:弁護士会照会回答拒否に賠償命令

京都地判平成19年1月24日判タ1238号325頁
 遺言執行者の遺言執行状況について23条照会で報告を求められ、守秘義務を理由に報告を拒否したところ、照会依頼者から不法行為に基づく損害賠償請求をうけ、これが認められた事例

弁護士法23条の2に基づく照会を拒絶して損害賠償が認容されたのは、判例タイムズのコメントによれば初めてである。そしてこの判決は確定した。

 京都地裁の裁判官様がこういう参考になる裁判例をWebに出し惜しみするのはなぜなんだろうか?

ちなみに被告となった遺言執行者は司法書士であり、公務所または公私の団体と言えるかどうかが争われたが、これは23条照会の趣旨解釈により認められている。
それから、原告・照会依頼人は法定相続人であり、遺言執行者に対してはもともと報告請求権があったこと、遺言執行者の報告の遅れにより遺留分減殺請求権の円滑な行使が妨げられたという実害もあったことが、このケースの特殊性として指摘できる。

それでも、弁護士会照会回答拒否が照会の実質的な利益主体である依頼人に対する不法行為となることを認めたというのは極めて注目に値する。

なお、別件でたまたま調べていて見つけたが、誤回答について訴訟上の不利益を被ったとして国賠責任を認めた例としては大阪地判平成5年10月29日判時1499号92頁がある。

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コメント

もともと報告請求権が無い場合、弁護士照会に強制力は無いと思います。

弁護士会は都合よく解釈して、あたかも強制力があり報告義務があるなどと主張しています。しかし、本人に報告請求権が無い事項を弁護士会が照会すれば報告義務が発生するなどという解釈は成り立たないでしょう。

弁護士に対する不法行為が成り立つのは、弁護士照会であることのみを理由として(すなわち本人照会でない事を理由として)照会拒否した場合ぐらいでしょう。

本人の委任により弁護士が弁護士会を通じて照会する基本的構成を考えれば、弁護士法23条は、本人の照会権を超えた照会権・調査権を弁護士会に与えたものではないといえるでしょう。

投稿: 山田 | 2012/08/27 16:27

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