trial:南京市中級人民法院(2)
裁判官の法服は黒い襟付き人民服のようなもので、ボタンのところが赤い縁取りをしている。→写真
傍聴した事件の進行は、書記官の事件読み上げの後、裁判官3人の入廷を起立して迎えた。
中国語が皆目分からないため、発言の内容は不明だが、裁判長の冒頭発言では両陪席を指し示して紹介する仕草をしていた。
案内してくれた先生の解説によれば、事案は外資企業からの売買代金請求で、5万ドルが訴額であった。
冒頭の裁判長の発言に続いて原告と被告がそれぞれ口頭で事件についての弁論をした。
日本のように、書面を事前に提出してはいるが、「陳述します」との一言ではない。
その後、証拠の交換である。これも解説によれば、あらかじめ訴状・答弁書に証拠書類の写しが添付されているが、原本と証拠リストを手に、それぞれの代理人がかなり長い説明を行い、また相手方の提出した書証についての反論を一つ一つについて口頭で述べていた。
解説によれば、5番目の証拠まで認めるが、その次の証拠からは認めないとして反論していた。
なお、被告代理人の後ろの席には、被告本人(か、その従業員)がおり、分厚い伝票を何冊もおいて必要箇所を用意している。
証拠原本は廷吏が代理人から受け取って裁判官に渡し、閲読する。教科書で見るような書証が現に行われていた。
合議体は3名だが、日本でいう右陪席の席に座った女性裁判官が主任らしく、裁判長と当事者とのやりとりに割って入っており、証拠や書面を裁判長と二人で見ており、他方の左陪席に座っている裁判官は全く蚊帳の外、暇そうにしており、空調が効きすぎるせいか盛んにクシャミをしていた。
書証についてのやりとりが終わると、すぐに証人尋問であった。
一名の証人を別室から呼び、人定尋問を行った。解説によれば、これが大問題で、証人と同姓同名の別人ではないかという問題が持ち上がった。
とりあえず、原告代理人が尋問し、次いで被告代理人に尋問を促したが、被告代理人は質問がないという。
交互尋問制が採用されているようである。
この証人尋問はなお同一性の問題が残っており、尋問後ももう一度証人を呼び戻して再度聞くというシーンがあったが、結局解決はせず、どこかに照会するということになった。
そして、法廷の終わり間際に裁判長が和解勧告を行い、両者が和解交渉をすることに同意して午前中の法廷が終わった。
午後は、和解協議が行われる模様である。
裁判は、和解がまとまれば即日終了し、まとまらなければ1週間以内に判決が下されるとのこと。
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