« Book:新論点講義シリーズ破産法 | トップページ | LS:新司法試験問題漏洩疑惑 »

2007/06/23

FRAUD:牛肉偽装事件

北海道民としては怒りを禁じ得ない。
牛肉検出されない商品も(共同通信)
偽装ミンチ強制捜査へ(共同通信)

不正競争防止法違反というが、端的に詐欺罪ではないのか?
刑法246条 人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。

記事の中で示されている容疑、不正競争防止法の条文はこれか?

21条2項 次の各号のいずれかに該当する者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
四  商品若しくは役務若しくはその広告若しくは取引に用いる書類若しくは通信にその商品の原産地、品質、内容、製造方法、用途若しくは数量又はその役務の質、内容、用途若しくは数量について誤認させるような虚偽の表示をした者(第一号に掲げる者を除く。)

その他、抵触する刑罰・取締法規はたくさんありそうだが、ともかく重きに従って処断されるのであろう。
売った数だけ懲役10年が科されるらしい某国の制度だと、あの社長は懲役何万年となることやら。

それから、この会社は社長の指示で組織的に継続的に何年にもわたって詐欺行為を重ねていたわけだ。
組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律にいう「団体の意思決定に基づく行為であって、その効果又はこれによる利益が当該団体に帰属するもの」に該当するとすると、詐欺は1年以上の有期懲役に処せられる。
普通の詐欺は上限が10年なのに対して、組織犯罪処罰法の詐欺は上限が有期懲役の上限、つまり20年以下となるから、相当の重罰だ。

また組織犯罪処罰法の適用があると、この会社の役員で組織的な偽装を知っていた者は、すべて情を知って犯罪収益等を収受した者となるだろうし、詐欺による売り上げから得た報酬、その報酬により買った財産は、すべて没収だ。もちろん会社自体の財産も、犯罪収益とそれに由来する財産は没収。

最後に社長を諫めるに至った長男や、従業員には気の毒かもしれないが、もはや解体しかないのではないか。

|

« Book:新論点講義シリーズ破産法 | トップページ | LS:新司法試験問題漏洩疑惑 »

ニュース」カテゴリの記事

コメント

まぁ、詐欺罪だと、売った相手と騙された人と物と代金を特定して、騙された人の認識とそうでなければ買わなかった旨の証拠を固めないと、少なくとも令状は取れませんからして。
その点、不正競争防止法は虚偽表示をして売っていたことが特定されれば令状が取れますからなぁ。

投稿: えだ | 2007/06/23 12:25

そうですか。
しかし、この場合売った相手は特定されており、物や代金も至極容易に特定できそうですけどね。

投稿: 町村 | 2007/06/23 13:15

そうはいっても、売った相手の直接的被欺罔者=商談担当者と間接的被欺罔社=購入決定者=決裁権者が異なる場合もある訳で、さらに購入決定の手順も証拠化する必要があるとなると、購入者側で数名の供述をとって調書にする必要が出てくるでしょう。
そうすると、それだけで、不正競争防止法違反で令状をとるのに比べて数日遅れることになるかとも思うのですけれど。

投稿: えだ | 2007/06/24 10:05

まあ、それはおっしゃる通りかもしれません。

投稿: 町村 | 2007/06/24 10:44

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: FRAUD:牛肉偽装事件:

« Book:新論点講義シリーズ破産法 | トップページ | LS:新司法試験問題漏洩疑惑 »