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2007/05/26

jugemnet:大学院入学が錯誤無効となり、入学金返還が認められた事例

名古屋地判平成19年3月23日PDF全文

名古屋市立大学の博士課程に入学して入学金を納めた社会人が、勤務を続けながらの研究も可能であるとの面接教員の言を信じていたのに、実際にはそうではなかったということで、錯誤無効を認めた事例である。

判決文から、入学者である原告と、教授とのやりとりの部分を抽出すると、
「原告は,同年7月2日,A教授及びB助教授と面談し,同人らに対し,
『現在の職場で勤務を続けながら,トキシコゲノミクスの研究分野,技術を
学びたい。』旨話し,被告大学院医学研究科博士課程に入学し,A教授の指
導の下で同研究を行うことを希望した。
A教授は,原告に対し,『1~2年で授業の単位は取ることができる。』,
『社会人向けに,夜に授業がある。』旨述べたほか,『できれば最初の2年間
あるいは1年間は学業に専念してほしい。』,『研究室の皆で一緒に仕事をす
るというスタイルが大切である。自分だけの仕事だけでは済まない。』旨告
げた。(甲8,乙17,証人A,原告本人)。
また,A教授は,原告に対し,『トキシコゲノミクス研究は,B助教授が
主な担当としてすべて任せられているから,今後,直接の指導や博士課程に
関する細かい点は,B先生から受けるようにして下さい。』と告げた(証人
A,原告本人)。」

また、原告からB助教授に問い合わせのメールを出して、それに対するB助教授の返事がこれである。
「大学院の件を事務に聞きました。
名市大では社会人でも入学できる大学院を標榜していますので,共通の
講義,演習などはすべて,夜6時半からで,2年間で24回あります。
研究に関しては,フレキシブルに時間を使っていただければ規則上は問
題ありません。博士論文が書ければ問題ないようです。
A教授の意向として,2年間はできるだけ,来て欲しいとのことです。
その2年間で実験を行い,論文が書ければ,問題ありません。
募集要項は当方にありますので,よかったら取りに来て下さい。
来年度の大学院募集の締め切りが8月13日にせまっておりますので,
入学を希望される場合はお急ぎ下さい。」

その後、口頭試験(判決文では一貫して口答試験とあるが、誤解しているのであろう)やその他のやりとりが積み重ねられたが、結局仕事を続けながらというわけにはいかないということが判明したという事案である。

上記引用部分以降のやりとりも判決文で見て欲しいが、入学金納付時期が迫っている中、A教授とB助教授と大学側ということが異なり、また前例もないことから、両者とも結構まじめにコミュニケーションしていたことが見て取れる。

こうした事例、つまり勤務先の許容度も入学先の許容度も時間をかけてすり合わせなければならない状況では、納付期限における入学金納付を「仮納付」としておくことが必要であろう。
その意味では、返還を認めたのは正当な判断であったと思われる。

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コメント

訴訟提起は新聞で目にしたのでh気にしていました。判決の話を聞けて助かりました。名市大は院生確保に苦労している?とも読める話ですね。「博士課程の定員、初めて減少」という記事が先日ありましたし。

ところで,「国立大博士課程」に法科大学院も含まれるのでしょうかね。

投稿: kissless | 2007/05/27 12:57

法科大学院は専門職学位課程であって修士課程でも博士(後期)課程でもないというのが公式見解ですが、仕事を続けながらでも通えますというセールストークをしていたのなら、似たような話が出てきても不思議はないですね。
ただ、仕事を続けながら新司法試験に合格した人が昨年もいたことは確かですが。

投稿: 町村 | 2007/05/27 13:08

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