jugement:ストレージサービスは著作権侵害だと判断した事例
これまたプロバイダに対する責任追及に近い問題である。
要するに楽曲をストレージサービスのディスク上に複製し、これを公衆送信(そもそも公衆かという問題もあるが)しているのはサービス提供者であってユーザではないというのである。
驚くべきことに、一つの音楽データにアクセスできるのがアップした当人だけという仕組みなのに、そんなことは関係がなく、とにかくサービス提供者が不特定の会員にデータを送信していることをもって公衆送信に該当するといっている。
詳しい判決内容は直接判決文を見ていただくとして、Myuta提供会社のイメージシティの閉鎖の弁を紹介しておく。
「<サービス終了に至りました理由>
イメージシティ株式会社(※1)は、各種事業で培ったシステム構築力を活かして、多くのお客様に、より便利で、より安く、より使いやすいサービスを提供できること を目指しています。MYUTAは、個人の所有するパソコンと携帯電話を紐づけた、インターネット上の個人専用 セイフティーボックス機能を利用し、同一の人物が同一楽曲を何度も購入することなく様々な利用シーンで自由に楽しんでいただける方法を試みました。 MYUTAを利用することで、音楽がより身近になり、より活性化するのではと考えました。「MYUTAサービス」は、私的複製の利用を十分検証のうえ、安心してお使いいただける サービスと自負しておりましたが、著作権法の私的複製利用についてJASRAC(社団法人日本音楽著作権協会)よりご指摘がありました。 弊社としましては、権利団体からご指摘がありました以上、法令を遵守の立場を貫くため誠に残念でありますが、サービスを終了させていただくことに致しました。
<MYUTAの今後>
弊社は法令遵守の姿勢にのっとり、サービスを終了させて頂きますが、実際利用して下さるお客様のため、また、音楽業界に少しでも貢献できるサービスとして 著作権法の解釈を明確にした後、改めてサービスを再開することを目指します。」(グーグルのキャッシュより2006年4月20日付け文書)
いちゃもんであってもサービスを終了せざるを得なくなった無念さがにじみ出ている。
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コメント
個々の著作物について権利を侵害するというのは理解出来るんですが、サービス自体が権利を侵害するってのがどうも良く解らないです。Winnyの裁判であった「蓋然性」というのも関係あるんでしょうか?侵害されたと主張する著作物が明示されてなくとも著作権の侵害は主張できるんでしょうか?
サービス自体が著作権を侵害すると仮定するなら、office氏の裁判(ACCSの裁判。FTPでパスワードがかかっているのでHTTPでのアクセスは不正アクセスという話)とかを見るに裁判所はアクセス制限やサービスが別で動いているかどうかとかを考慮してないっぽいですから同一のサーバから送信されるので公衆送信という結果を裁判所が出すのは正気とは思えませんが理解はできますけども。
もしよろしければなんでそんな話になっちゃってるのかをBlogとかで取り上げてもらえると超うれしいです。
投稿: 和泉 | 2007/06/02 00:21