mixi足跡をつけると公選法違反?
これはちょっとどうかと思うのだが・・。
J-Cast:ミクシィ「踏み逃げ」 市議候補に大ブーイング
要は、民主党の所沢市議候補が、ミクシの「所沢」コミュの参加者のページに手当たり次第アクセスして足跡を残したというのだ。
これが自分のページへの誘導をねらったものだとして、ブーイングが起きている。
問題のコミュはhttp://mixi.jp/view_community.pl?id=14362(要mixi会員)
そしてブーイングのトピックは「某議員の足跡」という名称で、現在163件のメッセージが重なっている。
ちなみに記事では匿名になっているが、上記のトピックでは民主党の水村篤弘議員だと名指しされている。
この人は確かにmixiに会員となっているが、その日記は外部のブログを参照することになっていて、参照先の個人ブログにはコメント欄がないので、コメントが殺到しているという状況ではない。
さて、確かにmixiの足跡でも、足跡をつけられた人が誰かなとおもって見に行く効果は期待できる。それをねらって出会い系業者が女の子会員を装ったページを作って、盛んに足跡を残していた時代もあった。mixi事務局は極めて強く統制をするところなので、弾圧されてほとんど姿を消したようだが。
その伝でいけば、水村議員のやったことは出会い系サイト並に嫌われる所業であったようだ。
しかし、これを公選法違反だというのは過剰反応だ。
上記J-castニュースはご丁寧にも所沢市選管に問い合わせて、「『足あと』は積み重なり具合、頻度による。最終的には捜査当局の判断になる」と、「グレーゾーン」との見解を引き出しているが、ちゃんちゃらおかしい。おそらく足跡機能を全く知らない人が、不完全な説明をされて、その上で一生懸命考えたのだろう。一日何回アクセスしても最後の一つしか記録されないとかいうことはどうも知らなさそうだし、普通のウェブページを見に行くときでも「足跡」は残ることを知らないに違いない。(この段落は憶測)
候補者は他の人のウェブページを見に行っただけで捜査当局の判断によらなければ分からないグレーゾーンに突入ですか?
だいたい、公職選挙法は刑罰規定なので、その刑罰の適用は明確でなければならず、類推適用は禁止され、新しい事態が出現すれば法改正によって手当てするまで自由であるはずなのだが、なぜか公選法だけは罪刑法定主義の適用がない、憲法秩序の外にある法律のようである。
別にこの議員さんを擁護するつもりは全くなく、ノーコメントを押し通そうとしているところを見ると、どうも誘引目的で足跡つけまくったということについて反論できないようなのだが、それにしてもmixi住民たちのナーバスかつナイーブな反応と、例によってそれをあおり立てるJ-Castの報道姿勢には、なんとも滅入るのだ。
mixi住民たちで騒いでいる人の中には、単純にイケナイと考えている人もいるだろうし、民主党がきらいな人がことさらに騒いでいる可能性はあるが、政治家一般に対する出会い系業者並の不信感をいだいている人がたくさんいるのかもしれず、仮にそうだとすると、それは極めて不幸なことだと思う。
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コメント
どうですかね?9割方モラルの問題だと思いますが、選挙期間中に、五月蝿い広報カー攻撃を浴びせられると、こういうことに対する反発が先鋭化してしまう、ということでもあるように思います。
最近は足跡を自動でつけてくれるソフトもあるようですし(実物をまだ手に入れていないのでなんともいえませんが)、そういうのを使用しているんだったりしたら確信犯的にやっているのかな?とか思います。
個人的には、こういうことを堂々と選挙期間中にやる、センセイの神経が良く分かりません。
投稿: こう | 2007/04/27 18:56
民主党と、一部民主党の人材が嫌いですが、コレは確かにおかしいですね。
そもそも足跡を取って公開しているのは、「やってきた側」ではなく、「迎えた側」です。
議員さんがやっているのは、「訪問」というアクションだけで、公選法違反になるかもしれない行為の実態部分を行っているのは文句をつけている迎えた側。
自分で『議員さん、x時にご来場』と公開しておいて、それに文句つけるというのもおかしな話です。
まあ、意図的にやってるということで、いい感情を抱かれないことはあっても、非難されることはひとつもないはずです。
「私のページ見てリロードしたから悪い」なんて、どんな怖いインターネットか。
ちなみに普通のウェブページ見ても足跡は残らないと思います。
IPは残りますが、それでは「誰」という特定はできませんし、リファラは「どこから」の跡であって、「誰」の足跡にはなりませんし。
ただ、レンタルブログとかログインありの同一サービス内であれば「誰」のわかる足跡を残せるところも少なくないですから、「よくあること」という認識で間違ってはいないかと。
投稿: サスケット | 2007/04/27 23:57
これは戸別訪問類似でしょうか(戸ではないが)?
それとも法定外文書宅配類似でしょうか(文書ではないが)?
民事的には「申込みの誘因」という大学時代にならった専門用語がフラッシュバックしました。
ネットのシステムは,現実社会を前提とした法律の想定の範囲外ですね~。
投稿: ハスカップ | 2007/04/28 12:48