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2007/04/17

arret:自動車盗難の立証責任

最判平成19年4月17日PDF全文
ニフティニュース
「盗難に契約者が関与したものかどうかの立証責任は、支払いを拒否する保険会社側にある」との初判断を示した。その上で、保険会社側勝訴の2審判決を破棄し、審理を福岡高裁に差し戻した。

これまで火災保険における放火かどうかについて最判平成18年9月14日判時1948号164頁、車両保険における偶発性について最判平成18年6月6日判時1943号11頁が、それぞれ同旨の判断を示している。
生命保険における自殺の可能性については、逆に保険金請求者が自殺でなく、意思によらない事故によることを主張立証すべきだとされている。最判平成13年4月20日判時1751号171頁。

そういうわけで、自動車盗難についても最近の損害保険の判例動向にならったものと位置づけられる。

これによって保険料率の計算も変わってくるのだろうか?

追記:その後、早くも最高裁Webに全文が掲載されたので読んでみた。
これによると、最高裁は外形的に盗難にあったことを証明すれば、その盗難に被害者が関与していたことは免責事由として保険会社側が証明すべき事実だとしている。

盗難を保険事故として保険金請求する場合に、保険事故の存在を請求者が証明するのは当たり前なのであるから、前段は別に一部を保険金請求者にも負担させたことにはなっていない。

この点で、以下のAsahi.comの記事は不正確であろう。
「最高裁はこれまで、「故意かどうか」について保険会社側に立証責任があるとの判断を、火災保険や衝突などによる車両保険の場合で示してきた。今回の盗難保険の場合は、この基本線を維持しながら、「第三者に持ち去られた」という外形的事実の立証責任は持ち主側に課した。現物と保険金を「二重取り」するような保険金請求詐欺に一定の歯止めをかける姿勢を示したといえる。」

上記の判決では、ここで指摘されているような「一定の歯止めをかける姿勢」は全く示されていないのである。

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