ICE-C3:サイバー犯罪取締機関
雪のワシントンDCを少し離れた、フェアファクスに、国土保安省直属のU. S. Immigration and Customs Enforcement (ICE) Cyber Crime Center(C3)を訪問した。デジタル・フォレンジック技術を用いた捜査の最先端である。
ワシントンDCの郊外でヴアージニア州フェアファックスにあるこの機関(ICEのパートナーであり、C3と呼ばれる)は、国土保安省のもとでサイバー犯罪取り締まりとフォレンジック捜査のための研修と、フォレンジック捜査自体も行う機関である。違法な取引や密輸などで高価な品を没収することがよくあり、没収品の売却益がこの機関の運用原資ともなっている。
面会したオズボーン氏は捜査官であり、主としてサイバーポルノの取り締まりや子供の誘拐と人身売買の取り締まりに力点をおいて説明された。誘拐された子供の捜索には、画像捜索システムを使う。これは誘拐された子供と一致する画像を他の画像から拾い出すもので、全く同一の画像でなくとも、特定可能となっている。これにはハッシュ関数を使って流通する画像を小さくしたり、XMLを用いたデータベース技術が活用されているということである。子供の誘拐と売買は国際的なやりとりなので、国際協力が欠かせない。性犯罪者の密入国を追跡したり、誘拐されて売買される子供の70%が外国人の子供であることから、様々な映像からの情報収集を進めている。
子供の問題以外のサイバー犯罪でも、犯罪の動機はほとんど必ず金銭なので、金銭振込先やクレジットカード使用履歴なども有力な捜査対象である。
なお、日本で普及している非接触型電子マネーには、今後1兆ドル以上の犯罪に繋がるだろうと警戒していた。
またスキナー氏はフォレンジック捜査の専門であり、フォレンジック捜査の研修や活用について説明してくれた。
フォレンジック捜査のための研修は、入門コースが6週間、アドバンスコースが2週間であり、その年間教材費18000ドルも没収品売却益でまかなっているとのこと。
見学した当日も、研修コースの最終日ということで、研修生たちが今日でバッジをもらえるのでうきうきしているという説明もされた。当日の研修生たちはほとんどが州や連邦の捜査官であるという。
| 固定リンク
「旅行・地域」カテゴリの記事
- 鳥取・河原城(2025.01.03)
- 白兎神社のお参り(2025.01.02)
- Book:准教授高槻彰良の推察2 怪異は狭間に宿る(2022.11.25)
- フランスのコロナ対策とマスク事情(2022.09.11)
- ロストバゲッジ(追記1,2,3,4完)(2022.09.04)
コメント
我が国の警察にも、世界に誇る児童ポルノデータベースがあるそうですよ。
その割には、奥村が担当した事件の被害児童について、警察は事件ごとに、小児科医の意見を求めていますが。何回も。
投稿: 奥村(大阪弁護士会) | 2007/03/12 11:12