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2007/03/08

arret:不当利得成立範囲について判例変更

ということで、裁判所サイトからの新判例取得である。
最判平成19年3月8日(PDF全文)

株式の不当利得について、利得者が売却してしまった後に、株価が上下した場合、口頭弁論終結時の株価を基準として利得額を評価するのか、それとも売却額を基準とするのかが問われた問題。

内容と本題とは異なる角度からの感想は以下。

原審は口頭弁論終結時の株価としたが、最高裁は以下のように判示した。
受益者は,法律上の原因なく利得した代替性のある物を第三者に売却処分した場合には,損失者に対し,原則として,売却代金相当額の金員の不当利得返還義務を負うと解するのが相当である。大審院昭和18年(オ)第521号同年12月22日判決・法律新聞4890号3頁は,以上と抵触する限度において,これを変更すべきである。」

このように法律新聞に載った大審院判決も判例として変更の対象となるのだが、では例えばジュリストが昔やっていた判例カードにのみ掲載された判決だったらどうか?
消費者法ニュースにのみ紹介された判決だったらどうか?
あるいはどこにも登載されていないが、誰かが判例評釈でも書いていた裁判例だったらどうか?
あるいは登載も評釈もおよそ公刊されたものにはないが、当事者が事件番号付きで引用した裁判例はどうか?
そしてその場合に判決原本の保存期間が過ぎていたりして、原本がなかった場合、どうなるのか?

誰も知らない判決は、事実として先例と扱われないので問題は起こらないが、何らかの形でその存在が知られてしまった判決で公式非公式の判例集に載っていないものは、やはり無視するわけにはいかないはずだ。
しかし先例は性質上、職権調査すべきものであろうから、偶然により顧慮されるかどうかが決まるというのは適切でない。

最高裁としては、少なくとも最高裁判決・決定と高裁判決・決定くらいまでは、原本の残っている限りにおいて全件データベースを作って過去の判決の網羅的な調査を可能にすべきだ。
そしてそのデータベースは、当然のことながら国民にもアクセス出来るようにすべきなのだが。

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コメント

「ウィキペディア」の“判例”項目を読みました。
下級裁判所での判決は裁判例ですか・・・。
一つ知識が増えました。

投稿: bengoshi_kowai | 2007/03/10 08:53

何をもって判例というかは、難しいので、ウィキペディアといえども正解ではありません。
下級審判決でも「判例」となりうる場合があるし、最高裁判決でも「判例」とは認められず、事例判決とか言われる影響力の乏しいものがあります。

フォーマルな意味での「判例」は最高裁が大法廷を開かないと変更できないものでしょうが、実際には先例として裁判官も弁護士も参照し、時には準拠する判決なら「判例」と呼ぶに値します。

投稿: 町村 | 2007/03/10 11:35

つまり、影響力という点が重視されるわけですね。

投稿: bengoshi_kowai | 2007/03/10 11:39

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