litigation:オリコン訴訟関連:名誉毀損被告の気持ち
このブログでも取り上げたオリコンvs烏賀陽訴訟に関連して、武富士から名誉毀損で訴えられ、不当提訴を理由とする損害賠償を勝ち取った三宅勝久氏が、名誉毀損訴訟で被告とされた場合の悲惨な運命について赤裸々に語っている。
My News Japanオリコンうがや訴訟2 「裁判なんか起こすんじゃなかったと思わせよう!」
民訴研究者・民訴の勉強をしている学生さんたちは、一読の価値がある。
真実または真実と考える相当な理由の立証がいかに大変か、たとえ弁護士を代理人としたとしても、膨大で複雑に絡み合う資料の整理、関連づけ、それに人証の用意や尋問準備など、本人でなければ知り得ない情報を元にしなければできない訴訟準備に、本人は忙殺される。
加えて、精神的にも追い詰められる。これは裁判に限ったものではないが。
この大変さが個人にとっての提訴リスクとして、一定の萎縮効果をもたらすことは、この記事で問題としている通りである。
また記事中では触れられていないが、取材源の秘匿の必要と真実性・相当性の立証とは矛盾するので、その点でも名誉毀損被告となったジャーナリズムはジレンマに立たされる。
しかしそれでも、訴える権利自体が不当だというのには賛同できない。
考えられることは、訴訟費用・弁護士費用の互助組織や、ジャーナリストが被告となった場合のテクニックや訴訟以前の交渉テクニックの集積共有をすすめることであろう。
それでも武富士のような、そもそも押しつぶすことを目的とした提訴に対しては力技で対抗していくしかないので、三宅さんが味わったような苦労は避けがたいが、少なくとも孤立状況は多少改善できるだろう。
(追記)
オリコンvs.烏賀陽事件に関連して、訴訟費用カンパを募っているサイトがある。どういう人がやっているか、私自身はよく知らないが、上記のようなことを書いた手前、とりあえず月曜日にでも貧者の一灯を送ってみよう。ご参加は自己責任で。
オリコン個人提訴事件を憂慮し、烏賀陽弘道氏を支援するカンパ活動
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