jugement:判決書きの一部を黒塗りにした例
社内発明の報酬規定と見られる部分や、その他の部分も数行にわたり黒塗りがされた判決書きである。
いわゆる営業秘密に関する秘密保護と裁判公開の調和を図ったものと表すべきであろうが、黒塗りというのは戦前の検閲済み出版物か戦後の占領下の出版物を想起させる異様さだ。
(追記)
いつもお世話になっている裁判所判例Watchさんからの指摘により、この黒塗りは全く役に立たない代物であることが分かった。
もう昨年から問題となっているケースと同じであろう。岡村先生や高木先生が指摘しているところであり、裁判所の判例公開も素人がちょいちょいとやることの危険性を示している。
岡村先生の以下の指摘に深く共感するものである。
「せっかく根付きはじめたネットによる情報公開が、今回の事件によって後退することがないよう、願いたいものだ。」
(追記2)
最高裁の広報課に電話してみたところ、黒塗り部分が見えてしまうという現象はそちらでも確認しているとのこと。そして2日後の現在、問題の判決はサイト上から削除されている模様だ。
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コメント
当該PDFには下記と同じ不備がありました。
当サイトのhtml,textデータでは黒塗り部分も丸見えになっていましたので、
当サイト上のデータ公開を一旦停止させていただきました。
ご了承下さい。
高木浩光@自宅の日記 - 公務員研修で体験させておくべき演習 「蛍光 ...
http://takagi-hiromitsu.jp/diary/20060802.html
Google [pdf 黒塗り]
http://www.google.co.jp/search?sourceid=navclient&hl=ja&ie=UTF-8&rlz=1T4GGIH_jaJP204JP204&q=pdf+%e9%bb%92%e5%a1%97%e3%82%8a
投稿: 裁判所判例Watch | 2007/02/06 08:15
裁判所判例Watchさん、コメント有り難うございます。
裁判所にいうべきでしょうね。
PDFへのリンクは一時外しておきましょう。
投稿: 町村 | 2007/02/06 10:18
氏名住所等の匿名化は、検察庁がマスコミ配布文書(起訴状・冒頭陳述要旨・論告)でやっているように、ABCDや甲乙丙丁などで一斉変換(文字キャラクター変換)したものを公開すればよかったと思います。
投稿: ハスカップ | 2007/02/07 00:15
この場合は氏名住所にとどまらない営業秘密部分について、かなり大幅に黒塗りをしたものでした。
当事者名などは普段からABCDにしているんですけどね。
投稿: 町村 | 2007/02/08 09:43
>営業秘密部分について、かなり大幅に黒塗り
それだと一斉変換方式は採れないので手間隙がかかりますね。
たいへん失礼しました。m(_ _)m
ペーパーレベルで黒塗り(いつもの着脱可能な黒テープ貼り付け)したものをコピーにかけて平面化してから、スキャナで読み込むのが最適ではないでしょうか。いずれにしろ手間隙がかかりますが。
投稿: ハスカップ | 2007/02/08 10:39
それだと、さらに文字データの読み込みもしないと検索がかけられなくなってしまうので、やはり原テキストデータからPDFに変換するようにしないと現在の仕様には合いません。
どうせ黒塗りするときには該当箇所を個別に特定してやるので、その部分を***にするのでも手間は同じはずですね。
黒塗りツールを使った方がちょっと格好いいかもと思ってやってみたと言うところではないでしょうか?
投稿: 町村 | 2007/02/08 11:21
>黒塗りツールを使った方がちょっと格好いいかもと思ってやってみたと言うところではないでしょうか?
なるほど。話に聞く裁判所のITレベルではその程度かも知れません。
どうも私が一人で考え過ぎていたようです。反省してます。
たしかにPDFファイルだと、各種アナラザーがフリーソフトで出回っているので、メタデータは容易に抜かれてしまうということを裁判所は広く知っておくべきだと思います。
投稿: ハスカップ | 2007/02/08 12:37
もうPDFがなくなったみたいなので書いてしまうと、単純にtextとして保存するだけで、黒塗りなしのデータとなっていました。
情報を公開する方向で努力している方々をディスターブしたくはないですが、情報セキュリティセンターに助言を求めるとか、一般的なレクチャーをしてもらうとか、もう少し気を付けないと、結局情報は出さない方がマシという抵抗勢力につけいる隙を与えることになってしまうのではないかと心配です。
投稿: 町村 | 2007/02/08 13:05