jugement:民法717条3項の求償権行使事例
国有地に被告が出現させた池に幼児が転落して溺死した事故に関して原告(国)が所有者責任に基づいて支払った損害賠償金について、原告が、被告に対し、民法717条3項に基づいて求償し、これが認められた事例
単純そうな事案だが、国有地で土砂を採取した業者が、口頭で許可を取ったと主張しているし、森林官の名刺も貰っていたことが認定されたのだが、正規の許可申請はしていなかったらしい。
採取後に雨水がたまって池となったのに、森林事務所も業者も、お座なりな対応しかしなかったため、子供が二人落ちておぼれ死んだというわけである。
被害者の親は、国に対して717条1項の責任を追及し、勝訴判決を得て賠償金を取得した。
池を出現させた業者が責任を負うことは否定できないが、当該土地の所有者で管理権限を有する国が、しかも池の出現について、近接道路から見通せるので、担当官において気がつかないわけはないのだから、国が何らの過失も認められないというのは、アンバランスな話である。
前任者から事故当時の管理官に池の存在に関する引き継ぎがなかったということも認定されているが、これは、担当官の無過失を基礎づけても、国の責任を免れる事由とはなり得ない。
過失相殺が認められて然るべき事例だったといえよう。
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