Cour d’Assise フランスの裁判員裁判(続き)
フランスの証人尋問は、民事ではほとんど行われず、刑事で行われているに過ぎない。方法は交互尋問と全く異なり、証人がまず言いたいことをいい、それから裁判官等が補充尋問をする。
心理鑑定人の場合は証言のプロであり、何を言うべきかははっきりしている。従って特に促されることもなく自ら話し始めて、必要なことをほとんど自ら語る。補充尋問は、裁判官が少ししただけである。
情状証人の場合はそうはいかない。母は「言いたいことを言いなさい、あなたの言うことを聞きます」と言われても何を言ったらいいか分からず、弁護人の促しで、ようやく被告人が気だての優しい子で、父親が暴力的だったせいでまっすぐ育たなかったということを、涙ながらに語った。
弟は、すらすらと兄の頼りになるところを語った。
裁判長が補充尋問をした後、付帯私訴原告の代理人、検事(Avocat general)、そして弁護人の順で補充尋問を促していたが、検事が何問か質問をし、弁護人も少し質問をしたが、付帯私訴原告は全く質問がなかった。
この事件は多数の強盗事件であり、その被害者が多数付帯私訴原告となっていた。しかし代理人は一人であった。
法廷は、パリのPalais de justiceであり、古い建物なのだが、重罪院の第三部の法廷だけは、近代的な部屋となっていた。バラックのような雰囲気もあったが、従来の構造とはかなり異なる傍聴席が二階建ての部屋であった。
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コメント
公職の場合は、女性がpresident(e)でも、冠詞はleでいいと思います。
投稿: okumura | 2007/01/10 19:06
私が見たときは、殺人の現行犯逮捕の事件でしたが、予審に1年8か月が費やされ、動機(計画性のような感じ)以外は争点整理が予審で終わっているようでした。捜査段階の身柄拘束が1年8か月と聞いて、自由・平等・博愛の国かと思った次第で。母親が「虫を殺すくらいなら自分がローヌ川に飛び込むような優しい子でした。彼に同居中の婚約者を殺す動機があるわけがない。婚約者が生命保険会社と契約した直後に死んだのは偶然です。」と叫んでいたのが印象的でした。
投稿: ハスカップ | 2007/01/11 02:01
okumuraさん、ご指摘有り難うございます。
フランスの先生がしばしばネタにして笑うので、フランス人も違和感があるようです。
投稿: 町村 | 2007/01/11 07:11