composition:和解の効用
シックスクール問題で、通学困難となった生徒側と学校設置者との間の訴訟が和解に終わった。
朝日新聞サイト
和解は、150万円の和解金支払いに加え、過敏症についての理解が不十分で原告に不信感を抱かせたことに市が遺憾の意を表す、シックスクール問題について教職員の研鑽に努める——との文言が明記された。
この訴訟では、このまま本案判決にいっても、果たして責任が認められた事例かどうかは分からないし、和解金額から見て、かなり責任は認めがたい事案だったのではないかという推測は働く。(同種訴訟の堺市のケースでは、1200万円の和解金となっており、30人の原告だから一人平均40万円。)
しかし大阪市は(堺市も)和解を選択した。またその和解条項には、遺憾の意という形で気持ちを表し、将来の体制面の改善を約束している。こうしたことは、判決では不可能であり、裁判上の和解が「権利義務の存否の争い」としてギリギリ詰めていく性格のものではないこと、互いの立場を認め合うところに成立する解決策であることを示している。
そのような和解だけではもちろんなく、足して2で割る和解とか、面倒だから和解とか、なあなあ和解とかもある。が、和解による解決がもつ建設的な側面には、もっと注目されて良い。
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コメント
ある種の物質に関して、過敏にアレルギー反応をおこす人が存在することは事実です。花粉症が良い例ですし。それは検査によって確かめることができます。
しかし、エレベータの改装に伴って発生した身体の不調が、本当に工事による揮発性物質のせいだったのかどうかは非常に疑わしい。いくらでも他の原因が考えられるわけです。建物の構造が異なれば、環境が激変するわけですし。
裁判を続ければ、原告や被告双方で肯定的あるいは否定的な証拠が積み上げられ、あるいは原因の一端がわかったかもしれません。
和解によって、シックハウスの原因究明の努力が放置されることがないよう祈ります。
(原因究明は裁判の目的ではないのかもしれませんが)
投稿: Inoue | 2007/01/30 06:32
Inoueさん、確かに真相究明は大事ですけど、裁判の目的ではなく、また無制限に時間が使えても良いというわけではありませんし。
もし両当事者が真相究明をしたければ、それを和解条項に盛り込むという手だってあったわけです。
投稿: 町村 | 2007/01/30 11:39