arret:取材源の秘匿特権による証言拒絶が認められた事例
この欄でも紹介した最決平成18年10月3日の適用例と位置づけられる。
ただし、取材源の守秘義務違反があることをどう評価するかについては、上記最高裁決定では言及されていなかった。この点について、今回の東京高裁決定は以下のように述べている。
「情報源に対する情報提供の要請が真に報道の目的から出たものである場合は,情報を得る手段・方法が法秩序全体の精神に照らし相当なものとして是認されるものである限り実質的な違法性を欠くものというべきであるから(最高裁昭和51年(あ)第1581号昭和53年5月31日決定,刑集32巻3号457頁参照),このような意味において報道機関の取材の手段,方法そのものが一般の刑罰法令に触れるといえないときは,たとえ取材源の内部関係においては,その情報を提供したことが法律に違反し,あるいは情報の内容が内部告発情報でなかったとしても,取材源の秘匿が認められるものと解すべきである。」
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