arret:ストックオプション申告の誤りと過少申告加算税
最高裁がいかに常識的な判断をできる存在かを如実に示した一例であろう。
もちろん最高裁の判断がいつも常識的というわけではないが。
ストックオプションの課税について、一時所得として申告したのを給与所得として増額更正した場合に過少申告加算税を賦課するのは、税務上の取り扱いが定まらなかったのであるから、違法であると判断された事例である。
平成10年分の所得税の確定申告の時期までは、課税庁の職員が監修した書物などでもストックオプションの課税を一時所得とする旨が書かれていたが、それ以後は給与所得とするという取り扱いで統一されたこと、裁判により給与所得とすることが確定したのは最三判平成17年1月25日民集59巻1号64頁であり、それまでは下級審段階で判断が分かれていたこと、そして一時所得から給与所得へと課税上の取り扱いを変更したことについて平成14年6月の所得税基本通達の改正によって初めて変更後の取扱いを通達に明記したというのであるから、平成11年の申告において一時所得として申告したのに対して過少申告加算税を賦課するのは不当であると判断された。
先例としては最一判平成18年4月20日民集60巻4号1611頁および最三判平成18年4月25日民集60巻4号1728頁参照。
追記:原告代理人の祝杯のブログエントリである。ただし、大福で。
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