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2006/09/17

Public law officeの現状

昨日のある研究会で聞いた、過疎地型公設法律事務所の現状だが、過労死しても不思議はない状況である。

カバーする地裁支部の人口は7万人位なのに2年間で500件の法律相談があり、うち380件が依頼受任した。
事件の種類は、相談案件の30%がクレサラ、20%が家事事件、10%が債権債務、残りがその他で、特許や不正競争あり、行政あり、行政庁からの相談もあり、会社清算事件もあった。
受任した事件でも200件は訴訟案件で、国選刑事が60件、残りの6割は過払い返還訴訟である。

この事務所は近くに一つ弁護士事務所があるが、あまり仕事はされないとのことで実質的にゼロワン状況は変わらない。この事務所が付いた当事者はいいが、相手方は本庁近くの弁護士に依頼しなければならず、時間も費用も無駄にかかる。結果、非弁護士がはびこるのである。

弁護士を急激に増やす弊害はあるにしても、中長期的には全然足りないのが現状であろう。

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コメント

実働1人だから繁盛するけど、この地区の弁護士が実働3人になったらやって行かれるのか心配です。しかも、グレイゾーン金利が撤廃されて、過払金請求という業務がなくなったら、そして、LSCと契約させられ国選の報酬水準が減額させられたら……。

投稿: 小倉秀夫 | 2006/09/18 01:06

そのような被害者を収入源としか見られないような弁護士は市場原理によって淘汰されたほうが市民のためになると思いますので、急激な増加による水準の低下が起きない程度のゆるやかな法曹人員の増加であれば歓迎できますね。

投稿: 菅理 徹 | 2006/09/18 01:44

それに、等しく法曹のサポートを受けられるように環境を整備する、というのは、過疎地医療の問題にも似ているのではないでしょうか。
一朝一夕に解決するものではないにせよ、人口あたりのサポート能力はできるだけ均一化したほうがよいように思います。
とくに過疎地等では交通事情も良くないケースがあるので、都市部に比べて負担も大きくなりがちでしょうから。

投稿: 菅理 徹 | 2006/09/18 01:48

>実働1人だから繁盛するけど、この地区の弁護士が実働3人になったらやって行かれるのか心配です。

そのあたりは、需要側と供給側のどちらに配慮するかという問題でしょうな。
需要側としては、競争してくれたほうがいいもんなので望む方向ではあるのですが、逆に下手に競争が激しくなってサービスが悪化しても困るところ。

とはいえ、
>グレイゾーン金利が撤廃されて
これはちょと本末転倒では・・・

投稿: サスケット@上海より愛を込めた | 2006/09/18 02:34

うーん。
ロー出身者を取る気がないという弁護士事務所があるわけですから、過疎地域に、ロー出身者などである程度構成できるようなシステムを作っていただけたら、弁護士事務所が採用しない、といっても、ロー生が不安になることはない、と思うのですが、どうでしょうか?

投稿: こう | 2006/09/18 06:38

 裁判官や検察官も、指定職の昇給据え置きを超えて、ついに全裁判官(簡裁判事を含む)と全検察官(副検事)の俸給一斉減額(月額数万円から十数万円)に踏み切ったのだから、国家財政の破綻を考ええうと国選弁護人報酬が1回当たり2万円程度下がったり、多重債務者を救済するため過払い金請求の売り上げが減少するのは仕方ないのでは?

投稿: 通行人 | 2006/09/18 07:40

裁判官の給与切り下げは憲法問題があってそれ自体問題ですけども、国選弁護の今以上の待遇悪化は司法の強化に逆行します。しかも、格差にセーフティネットという発想からしても、司法分野における重要なセーフティネットが国選(そして起訴前公的弁護)なのですから、小さな政府を目指す今こそ予算を増額する分野です。

投稿: 町村 | 2006/09/18 08:45

>カバーする地裁支部の人口は7万人位なのに2年間で500件の法律相談があり、うち380件が依頼受任した。

この数に驚いたのですが、これは全国的に見て平均値なのですか?

こんなに多いものなのですか?

投稿: 酔うぞ | 2006/09/18 10:20

上記の件数は、これまで弁護士がほとんど居なかったための滞留事件が影響していると思いますが、全国的に見ても決して多すぎる件数ではないです。

投稿: 通りすがり | 2006/09/18 10:59

念のため、上記は「過疎地の弁護士としては」多すぎるものではない、という意味です。都市部ではこれよりずっと少ない件数で(それなりに)裕福な生活をしている弁護士がたくさんいます。

投稿: 通りすがり | 2006/09/18 11:10

「受任した事件でも200件は訴訟案件で、国選刑事が60件、残りの6割は過払い返還訴訟である。」とのことだと、頼みの国選がLSC経由で単価の引き下げにあい、かつ、グレーゾーン金利の廃止によって「残りの6割は過払い返還訴訟」がなくなったときに、何人の弁護士がそこで開業して行かれるのかという単純な問題ですね。数が少ないパイを誰が勝ち取るのかというのは競争原理の問題ですが、そもそもパイが存在しなければあるいはそのパイが明らかにまずいものであれば、わざわざ競争して勝ち取ろうとする人が出てこなくなるわけで。

投稿: 小倉秀夫 | 2006/09/18 11:28

 普通の弁護士先生にとって社会問題や法律問題で苦しむ人たちは、食うためのパイにしか見えないのですね。
 これなら、グレーゾーンを引き下げると食えない弁護士が増える、という一般から見たら本末転倒の議論が弁護士の間で議論されるわけです。
 たとえ本音はそうでも、もう少し社会問題や法律問題に苦しむ人たちへ「配慮した言葉遣い」をしないと弁護士増員反対への支持も得られなくなると危惧します。

投稿: 通行人 | 2006/09/18 15:00

根本的に、過払いはグレーゾーンだけの話ではないような気がするんですが、違うんですか?

投稿: こう | 2006/09/18 23:58

経営が成り立ちにくい地域だから,弁護士がいなかったというのが真実ですよ。
たまたま最近過払いで需要を掘り起こせただけです。
事務所を維持して行くにはお金がかかりますが,経済的には,公務員ではなく,普通の小売業者と何も変わらない立場にある町弁の場合,数が増えたら食えなくなるのは自明の理ですね。
酒の販売自由化してつぶれる酒屋さんが増えたようなものです。

投稿: そもそも | 2006/09/19 13:19

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