lawyerに相談するのに勤務先の承認がいる!
という会社が、富士火災海上という保険会社である。
日経サイトより
---引用---
富士火災海上保険が「弁護士に法律相談をする場合は会社の事前承認が必要」などとする社員行動規範を定めたのは「裁判を受ける権利を保障した憲法などに違反する」として、社員15人が行動規範の無効確認と1人当たり10万円の慰謝料を求める訴えを20日、東京地裁に起こした。
---引用終わり---
(注記:以下の記述は上記の原告請求を報じた記事を前提にしたもので、コメント欄のご指摘があったように、その前提たる情報が不正確という可能性もあります。)
私企業の社内規則が憲法に違反するというのは乱暴な話だが、まあ公序良俗違反というところだろう。
(追記:以下は報道された訴えの内容が正しいと仮定した場合の話)
それにしても、この会社、よほど法律家が怖いらしい。相談されたらヤバイことがたくさんあるのか。
こういう会社だと、公益通報者保護法とかも全く無意味であろう。
不当条項の差止請求権を団体に付与する立法が必要なのは、消費者だけではなさそうで、労働組合に付与する必要がある。もっとも御用組合が馴れ合いで敗訴したら他の組合も提訴できなくなるというような欠陥法律はいらないが。
| 固定リンク
「法律・裁判」カテゴリの記事
- Arret:欧州人権裁判所がフランスに対し、破毀院判事3名の利益相反で公正な裁判を受ける権利を侵害したと有責判決(2024.01.17)
- 民事裁判IT化:“ウェブ上でやり取り” 民事裁判デジタル化への取り組み公開(2023.11.09)
- BOOK:弁論の世紀〜古代ギリシアのもう一つの戦場(2023.02.11)
- court:裁判官弾劾裁判の傍聴(2023.02.10)
- Book:平成司法制度改革の研究:理論なき改革はいかに挫折したのか(2023.02.02)
コメント
相当原告側による情報操作があるようです。事前に法務部長の決裁が必要な法律相談とは、会社が費用負担する保険業務についての法律相談のことで、従業員が個人的にする法律相談は関係ないようです。
投稿: 火災 | 2006/09/21 09:54
うーむ、それが本当なら、報道は全く信用できず、原告の言い分を鵜呑みにしてこのエントリを書いた私も反省が必要です。
本文にもその趣旨を書き加えておきましょう。
投稿: 町村 | 2006/09/21 11:12
Sankei Webには、以下のように書かれています。
-------------------------------------
社員が弁護士に相談する際、事前に会社の承認を義務付けた「行動規範」は憲法に違反するとして、中堅損保「富士火災海上保険」(本社・大阪市)の社員15人が20日、行動規範の無効確認と計150万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。
原告代理人によると、弁護士との接触を制限する行動規範を企業がつくるのは前代未聞という。
富士火災は5月、行動規範を社員に提示。同規範は「業務に関連して法律事務所に相談したり、弁護士に訴訟の代理委任をする場合は事前に法務部長の承認を得なければならない」などと規定し、違反者は懲戒処分の対象になるとしている。
原告らは「会社側は法律相談の対象を労働争議全般と説明している」とした上で、「事実上、会社を提訴する権利を罰則付きで禁止するに等しい」と主張している。
一方、富士火災は「法律相談の規定は保険業務に関するものだけで、労働争議全般に及ぶものではない。なぜこんな誤解が生じたのか分からない」としている。
(09/20 20:53)
投稿: Ikegami | 2006/09/21 12:03
うーむ、ますます脊髄反射エントリの恥が明らかになってくるみたいですね。
投稿: 町村 | 2006/09/21 13:47
行動規範違反者は刑事民事訴追までされるため
本人訴訟で提訴、12月3日札幌地裁大法廷で労
基法違反の判決というチラシが入りました。
投稿: 傷害 | 2007/10/02 03:20
業務に関連してーーー労使の団体交渉で業務に関連しては労使関係も含まれると回答したため訴訟になる。
投稿: 新種 | 2007/10/02 17:01
裁判で被告はこの発言を認めた
投稿: 新種 | 2007/10/02 17:19
富士火災労基法違反裁判は札幌高裁に移り
21年2月3日結審予定です。地裁判決裁判経緯は
労働法律旬報12月下旬号で詳細が載せられています
投稿: FP | 2009/01/10 03:58