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2006/09/28

jugement:3億円賠償は酒気帯びに対する鉄槌か?

昨日報道されていた千葉地裁佐倉支部での判決は、酒気帯びで人をはね、寝たきり状態にしてしまった加害者に対し、介護費用などを含む損害賠償約3億円の支払い(保険等既払い分を控除後)を命じるものだった。

これは、酒気帯びという悪質な行為に対して高額の賠償を命じて警鐘を鳴らしたというトーンで報道されていた。NHKのニュース9では、酒気帯び運転をすると、刑事責任も重大だし、民事でもこんなに高額の賠償が課されるのだという判決だとコメントされていた。

酒気帯びだから高額賠償なのだろうか?

賠償額の根拠は、それぞれの報道でも伝えられている。
朝日新聞サイト
「判決は賠償額の算定根拠となる根本さんの余命について、「事故から約10年」とする被告側主張を退け、平均余命に当たる41年を認めた。
 そのうえで、将来の介護料を約1億3400万円、働けなくなったことによる逸失利益を約7200万円、後遺障害の慰謝料は約3200万円——などと認定した。」

慰謝料については、加害行為の悪性により上下することがありうるが、それ以外の介護費用、逸失利益は酒気帯びでも素面でも変わらない。この判決で注目すべきは、介護費用や介護のための自宅や車の改造費用などがきちんと認められている点であって、そのことは酒気帯びとは関係ない。

酒気帯び運転で人をはねると、高額賠償が課されるという形で報道されるのは、あたかも懲罰的な賠償が認められたみたいに聞こえるので、ミスリードである。
むしろ、懲罰賠償がない日本では、酒気帯び運転で人をはねても単なる不注意で人をはねても同じ賠償しか命じられないということをこの機会に考えてはどうか?

例えば、この事件で、加害行為の悪質性が高い、故意に近い重過失だという認定を根拠にアメリカ流の3倍賠償が導入されていれば、9億円の賠償を命じるということになったはずだ。

もっとも加害者に金がなければ、9億円でも3億円でも絵に描いた餅になることは否めないのだが。

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コメント

こういう事例の場合、任意保険に入っていて、対物対人無制限になってる人の場合、結局のところ支払うのは、保険会社なんですよね?
被害者にお金が支払われるのは前提として、お酒飲んで運転する人間に対する、保険会社の契約も変えていく必要があると思いますね。
飲酒運転をした場合、一方的に保険会社側から解約できるとか、飲酒運転で事故を起こした場合、被害者に対しては、賠償金を支払うが、支払額相当分を加害者に請求するとか(その上で、契約を一方的に破棄し、事故情報を他保険会社と共有するとか)。
また、飲酒運転をくり返す人物に対しては、永久に免許剥奪くらいすべきだと思いますけどね。

投稿: みさき | 2006/09/28 12:43

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