Arret:答弁書の表現で名誉毀損が認定された事例
過払い金請求訴訟を提起された貸金業者が答弁書に以下のような記述をした。
「過払元金が1万円程度の場合であれば,訴訟提起しても,弁護士費用等がかかる為,原告本人には経済的メリットはない。にもかかわらず,訴訟提起までしてくる行為は,原告代理人(控訴人外5名の弁護士を指す。)が単に弁護士費用を稼ぎたいだけの行為であるとしか考えられず,この様な行為も権利濫用であり,信義則にも反する行為である。」
答弁書が擬制陳述されたとき、これは名誉毀損になるのか?
京都地裁は、原判決を取り消し、名誉毀損を認めて10万円の支払いを命じた。
訴訟行為であることから、違法性阻却があるはずと被告側は主張したが、この点は詳細な認定で退けている。
ごく最近の類例として東京地判平成18年3月20日判時1934号65頁があるが、こちらは相手方当事者に対する個人攻撃を繰り返し、弁護士もその幇助者になった事例である。
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コメント
へえ×18
京都ってアイフル・日栄・ロプロの地元で貸金業者よりというイメージがある町ですが、こんな判決もあったんですねえ。
わたしゃこの程度の表現はしょっちょうくらってるんですが、参考になりそうです。
投稿: 岡本哲 | 2006/09/19 23:41
ていうか、この程度の表現ではネット上は全滅でしょうなぁ。
投稿: 町村 | 2006/09/20 00:33
弁論期日では実名で憶測を騙る弁護士なのに、公開された判決になると、裁判所の公権的判断により、匿名の陰に隠れてきちんとプライバシーが守られるのですね。
投稿: 通行人 | 2006/09/20 07:43