民訴248条の例:日本で交通事故にあった米国在住の医師志望ミャンマー人の逸失利益
広島地判平成18年5月29日(PDF判決文)
ミャンマーの専門医療教育を受け医学研究業績のある女性が日本に留学中交通事故に遭い、後遺障害を負った。この女性は当初より米国で医師開業を希望しており、事故後、博士課程修了後に渡米して現在米国在住。
さて、医師としての収入を基準に逸失利益を算定できるだろうか? またその金額はアメリカの医師を基準にするのか、それとも日本? ミャンマー?
ちなみにミャンマーの高級官僚の月収は13ドルだそうである。
医師になる確率も判決文中に出てきたが、確率で逸失利益を割り引くという計算方法はとっていない。
しかし、民訴248条による算定をしているので、ある意味では、確率的心証の理論も損害算定に吸収されてしまったというところである。
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