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2006/06/22

jugement:仲裁人を選定する判決

こんな判決があるとは、不勉強で知らなかったが。
東京地判平成17年2月9日判時1927号75頁

 仲裁契約を三井商船とインドの会社とが締結したところ、その後にトラブルが生じてインドで提訴された。そこで、契約に定められたとおり、2人の仲裁人を両当事者がそれぞれ選定するべく、まず三井商船の方が仲裁人を選定した。しかし相手方インド会社が選定しなかったので、裁判所に仲裁人の選定を請求したという事案である。

旧公示催告仲裁法の適用のある事件なので、同法789条に関連するが、現行仲裁法17条5項が同様の定めをおいている。
「(当事者が定めた)選任手続において定められた行為がされないことその他の理由によって当該選任手続による仲裁人の選任ができなくなったときは、一方の当事者は、裁判所に対し、仲裁人の選任の申立をすることができる。」

また同条6項は仲裁人選任における配慮事項を定めているが、当事者の合意による要件、公正・独立、国籍の中立性が挙げられている。

Q さて、このような規定に基づいて、一方当事者が裁判所に申し立てる仲裁人選定請求は、どのような類型の申立か?
A 訴訟手続で行うと言うこと自体に奇妙な感じがあり、仲裁法に基づく非訟事件と位置づけられるべきなのだろうが、そのような手続法がないので、形式的形成訴訟として行われているというところであろうか。

Q また、判決(!)の効力は、その選定された仲裁人に及ぶのだろうか?
A もちろん通常の意味での既判力や形成力は生じないし、他の非訟手続で行われる選任、例えば破産管財人や各種財産管理人、後見人等の選任などと同様の効果もなさそうである。それぞれに選任される人々の法的地位には議論があるところだが、裁判所とそれらの人々との間に一定の事務を委託する法的関係が認められるのに対して、仲裁人は裁判所から一定の事務を委託されて選任されるものではないからである。
 実務上は、おそらく管財人選任などと同様に、仲裁人候補者の同意を取り付けた上で選定判決を下すのだろうし、その実務を組み込んだ非訟手続を創設すべきように思われる。

(追記)
小山昇『仲裁法』(有斐閣法律学全集・1993新版)116頁以下によれば、仲裁人の選定を目的とする訴えは大決昭和14年4月18日民集18巻425頁において、判決手続によらなければならないと判示されている。母法ドイツのZPOは、1877年法の時点で判決手続による仲裁人選定を設けていたところ、1900年法で決定手続に改正されている。
小山先生も、「これはいかにも大げさである。非訟事件手続法により規制するか、民事訴訟法上の決定手続により処理すれば足りると思われる。」とされている。
なお、裁判所の選定した仲裁人が職務の引受を拒絶した場合は再度の申立により再度選定するということなので、判決効は仲裁人との間の法律関係を形成するものとは解されていないことも確認できた。

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