B型肝炎最高裁判決
最判平成18年6月16日判決文pdf
いわゆるルンバールショック事件の最高裁判決は百選でおなじみだが、何度も繰り返し最高裁が書かないと、下級審裁判官たちが理解してくれないらしい。
「訴訟上の因果関係の立証は,一点の疑義も許されない自然科学的証明ではなく,経験則に照らして全証拠を総合検討し,特定の事実が特定の結果発生を招来した関係を是認し得る高度の蓋然性を証明することであり,その判定は,通常人が疑いを差し挟まない程度に真実性の確信を持ち得るものであることを必要とし,かつ,それで足りるものと解すべきである(最高裁昭和48年(オ)第517号同50年10月24日第二小法廷判決・民集29巻9号1417頁参照)。」
この判決は、除斥期間についても以下のような判示を一般論として示している。
「民法724条後段所定の除斥期間の起算点は,「不法行為の時」と規定されており,加害行為が行われた時に損害が発生する不法行為の場合には,加害行為の時がその起算点となると考えられる。しかし,身体に蓄積する物質が原因で人の健康が害されることによる損害や,一定の潜伏期間が経過した後に症状が現れる疾病による損害のように,当該不法行為により発生する損害の性質上,加害行為が終了してから相当期間が経過した後に損害が発生する場合には,当該損害の全部又は一部が発生した時が除斥期間の起算点となると解すべきである(最高裁平成13年(受)第1760号同16年4月27日第三小法廷判決・民集58巻4号1032頁,最高裁平成13年(オ)第1194号,第1196号,同年(受)第1172号,第1174号同16年10月15日第二小法廷判決・民集58巻7号1802頁参照)。」
既にじん肺訴訟で積み重ねられた判断だが、水俣病にも、そしてB型肝炎にもと、その射程がじん肺特有というわけではないことは、もう異論の余地がない。
法文には「不法行為の時から」としか書かれていないが、管轄などで問題となる「不法行為の場所」の解釈からしても、原因行為に着目する場合と損害発生に着目する場合とがありうるのは不思議ではない。
除斥期間の性質を説明するときは、もはや原因行為をしたときから長期間の経過により責任追及が困難ないし不相当となったと考えられるというだけでは不十分で、それと被害者の救済の機会とのバランスという点が欠かせない要素になった。
なお、最高裁サイトも最高裁判決だけはまあまあ早く掲載しているが、下級審裁判例も重要なので早く載せて欲しいものである。
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