WEB進化論
この著者は同い年なので、時代感覚もまあ近い。すこし理系的な育ちと文系的な育ちで世の中が違って見えていたかもしれないし、経歴的にも別世界の人なので、その点はあまり重要でないのかもしれないが。
この本から私が最も強く感じたのは、名もなき人々(anonymous crowd)の言動・行動が世の中を動かしていくことは現実にあるし、それを信頼してもよいという信念である。
グーグルは、その点において梅田氏の同感するところにならないのであろうが、しかしまあ組織原理と行動原理とは別物であって、組織としてはエリート主義をとりつつ行動面では群衆の力を当てにして行くということも矛盾ではない。
こうしたあたりは、単純な二分法で何もかも割り切ろうとする単純な世界観では理解できないところであろう。もちろん梅田氏がそうだといっているわけではない。
それはともかく、梅田氏の著すインターネット的なものは、法的なものの見方にとっても重要な示唆を与えてくれる。そのことを考えるのが、次の年度からの5年間になりそうである。
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コメント
http://facta.co.jp/blog/archives/20060225000090.html
こちらのサイトは既読でしょうか?
もし未読でしたらぜひ読んでみることをお勧めします。
Googleは中国政府のWEB検閲政策に従った時点で「神」でなくなったといえるでしょう。
投稿: 東馬 | 2006/03/20 18:18
読んでみましたが、ちょっと同意しかねます。
梅田氏はグーグルを神としつつも、その神に帰依しているわけではなさそうですから。
というか、ご紹介のサイトで指摘されているような単純二分法なら、このエントリの本文に書いた非難が当てはまるわけで。そうではないと注記しているわけで。
投稿: 町村 | 2006/03/21 07:22