news:判決の不存在
何とも情けない弁護士だが、提訴せず「勝訴」判決文偽造、弁護士を業務停止2年(読売新聞)
未払い賃金請求を受任した弁護士さんが、忘れていたのか提訴しないで放置し、依頼人から再三問い合わせが来ると、虚偽の説明を繰り返し、勝訴したといい、実在の裁判官名を書いた判決文を偽造して依頼人に渡し、さらには自腹を切って弁護士費用を差し引いた額の金員を依頼人に支払った。
これでやれやれと安心したのか、油断したのか、依頼人がこともあろうに判決の再交付を裁判所に求めたものだから、ばれてしまったのだ。
子供が嘘ついて引っ込みつかなくなるというのを、40歳になってもまだやっているという感じだが、勉強の素材としては興味深い。
伊藤眞先生の教科書に「非判決」として裁判官以外の裁判所職員が作成した判決書というのがあるが、弁護士が依頼者向けに作成した判決書というのもここに入れてよいかもしれない。
この判決書が相手方に送られたとして、相手方は控訴することができるだろうか?
参考判例
大判明治37.6.6民録10-812
大阪高判昭和33.12.9下民9.12.2412
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コメント
>この判決書が相手方に送られたとして、相手方は控訴することができるだろうか?
控訴の可否というより要否の問題ではないのですか?
250条により言渡しがなければ控訴の前提となる判決の効力は生じないわけですから。
送達された時点で言渡しがないとわかっていても上訴を選ぶ利益ってあるんでしょうか。
でも問いに答えるとするとできるという答えになります。送達されれば281条、285条から
可能と考えられるからです。
投稿: 東馬 | 2006/03/07 01:11
訴訟法の場合、「できる」か、という問は、適法か、つまり上訴要件を満たして本案判決をしてもらえるか、という意味を含んでいます。
だから、東馬さんのいう「要否の問題」も、上訴要件として考慮すべきです。
さて、無効な判決であっても、一定の場合には上訴や再審で取り消してもらう利益が認められていました。この弁護士さんお手製判決の場合も、同じように言えるでしょうか?
投稿: 町村 | 2006/03/07 06:09
>この弁護士さんお手製判決の場合も、同じように言えるでしょうか?
改めて考えてみますと言えないですね。
言渡し以前に
裁判所が判決原本を作成していないという時点で判決がそもそも存在していないことから上訴の対象にもならない。(新堂3版611頁参照)
というのが正解でしょうか。
でもこの場合でも上訴で間違いなく取り消しまたは破棄してもらえるわけでそれを当事者が望むのであれば訴訟要件は充たすとしてもよいのではと
思います。
認めることに不都合ってあるのでしょうか。
投稿: 東馬 | 2006/03/07 16:43
そもそも弁護士が作った「判決」が送達されることがあるとは思えないが・・・(書記官を買収した場合を除く)
投稿: 通りすがり | 2006/03/07 17:58
裁判官以外が下した「判決」は、非判決だから不成立無効でしょう(刑事判例あり)。
それにしてもこの弁護士先生は、昼夜未明を問わずネット三昧で本業をおろそかにしたのではないかと思わずかんぐってしまいそうです。判決書を偽造するくらいなら堂々と敗訴判決を受け続けた方がまだましです(合法だから)。
投稿: とおり過ぎ | 2006/03/07 21:29
>認めることに不都合ってあるのでしょうか。
そのようなことに裁判所を付き合わせる(裁判官や書記官の時間を消費させる)のが、訴訟経済上望ましいかという判断だと思います。
投稿: 通ってもいない | 2006/03/08 02:47
業務停止2年って、甘くないですか??
投稿: 沢田 | 2006/03/12 00:44
うーん、甘いかな。
依頼者には損はさせていないとか、そういうことかな。
でも二年後に、この手の弁護士さんかどうか分からずに依頼する羽目にはなりたくないですね。
投稿: 町村 | 2006/03/12 00:55
そういえば、以前「法律家ゴマのホームページ」(現在は閉鎖)で弁護士の懲戒処分を公開していましたが、その類のページは今はないのでしょうか?
投稿: 通りすがり | 2006/03/12 14:37