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2006/02/07

trial:親族相盗の適否が問題となっている裁判

ニュースによれば、 少年(14)の貯金を、未成年後見人として管理していた祖母、伯父夫妻が着服したとして、業務上横領罪が問われた初公判が6日、福島地裁(大沢広裁判官)で開かれた。
弁護側は、祖母について「親族相盗で刑が免除される」としたという。

刑法244条とその準用規定255条によれば、当然直系血族なのだから、祖母は刑を免除されるはずだが、福島地検は「祖母を後見人に選任した福島家裁も信頼を裏切られた被害者」と解釈して起訴に踏み切ったという。

果たしてどうなるだろうか?

素人ながら考えるに、福島家裁との関係では、強いて言うなら背任罪になるのではなかろうか? ちなみに背任についても親族間の罪は免除される244条が準用しているが、こちらであれば地検のいうように、親族間の問題にとどまらないようにも思える。
横領という点では、被害者はやはり横領された本来の財産権者のように思えるのだが。

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法律・裁判」カテゴリの記事

コメント

ひどい話ですね。
約1500万円を着服して、自分の子供の学費に充ててたっていう話みたいですが。
気になったのが、祖母が無罪になった場合に、損害賠償義務が発生するのでしょうか?
伯父は、おそらく賠償しないといけないと思いますが。

投稿: みさき | 2006/02/07 13:32

 無罪ではなく「刑の免除」という有罪判決でしょう。なお、有罪無罪と損害賠償義務の存否は直接リンクしません。先進国では民刑分離の原則が支配的です。

投稿: ハスカップ | 2006/02/07 14:59

 法は家庭に入らずという趣旨からすると関係者全部が親族じゃないとだめですね。
 答案としては書きやすいですね。

投稿: 奥村徹(大阪弁護士会) | 2006/02/07 15:08

あれ、そうなんですか>関係者全部が親族じゃないとだめ
「加害者が複数で第三者が含まれている場合には、親族関係にない加害者の犯罪行為は成立する。」(Wikipedia)って書かれてますけど。

ちなみにWikipediaにはこの事件のことももう載っていた。

投稿: 町村 | 2006/02/07 16:42

ことばらたずでした。
関係者というのは、犯人と被害者の事です。
横領罪は委託信任関係違背の側面もあって、委任者である家裁も被害者に含むと理解することができるんですよ。

投稿: 奥村徹(大阪弁護士会) | 2006/02/07 16:47

なるほど、勉強になります。

投稿: 町村 | 2006/02/07 16:52

新試験問題に出てきそうな話題ですね。

>みさきさん
一応、刑事事件で免責される(有罪になるとしても親族相盗例は罰せられないというだけで違法なのは変わりはないですし)としても、民事上は、親族相盗例の適用がないので、損害賠償義務は残りますので、ご安心を。もっとも、祖母は無資力の場合には、お金は取れないという結果になりそうですが・・・。

投稿: こう | 2006/02/07 17:43


家裁が横領の被害者と言うことで
家裁の物っていえるのか暫し考えてみたのですが言えないような気がします。
あくまで物は被未成年後見人の物で
家裁の物と考えると一物一権主義ないしは
物権の排他性と背理しませんか??
強いて家裁の物だと考えるとそもそも
被害者は家裁でしかなく、この少年は被害者
ではないと構成しないと難しいのですが
どうも現実と離れている気がします。

どなたか疑問にお答えいただけると幸いです、。

刑法上の占有と民法上の占有が違うのは
認められてきていますが、所有が二重に
成立するというのはあるのでしょうか。

あと、背任罪と横領罪の区別はやっかいなのですが不法領得の意思があれば背任罪ではなく横領罪が成立するととりあえず分けることができます。

#参考にした大谷教授の基本書によると
免除が明らかなのに検察官が起訴することは
公訴権濫用とみてよいとされています。
とすると当然弁護人はこう主張したでしょうね。

投稿: 東馬 | 2006/02/07 19:54

刑法の本も読みましょう。
http://d.hatena.ne.jp/okumuraosaka/20060206/1139218181
 保護法益は本権ですが、どの範囲で免除するのかは、政策ですよね。

投稿: 奥村徹(大阪弁護士会) | 2006/02/07 22:08

>奥村弁護士へ

>刑法の本も読みましょう。
一応大谷教授の刑法各論を読んだのですが(汗

本件と直接関係するわけではないですが
どうやら古い判例があったので参照してみ
ました。


理由付けがないに等しい気がしますが
一応参考までに載せておきます。

大判昭和6年11月17日
「刑法第二百五十二条第一項の横領罪は自己の占有する他人の所有物に対し領得行為を為すによりて成立す
而して刑法第二百五十五条に於いて
同第二百四十四条の規定を準用せるを以て犯人が親族又は家族の委託により占有せる親族又は家族の所有物を擅に領得したる時は同条によりその刑を免除し又は告訴を待ってその罪を論ぜられるべきものなりと雖もその領得したる物にして犯人の親族又は家族にあらざる者の所有物なるときは縦令其の占有が犯人の親族又は家族の委託に基づきたる場合と雖も之に対し該法条を適用すべきに非ざること勿論なりとす」


>保護法益は本権ですが、どの範囲で免除するのかは、政策ですよね。

政策的視点を問われると辛いです。

今までの話を綜合しますと
祖母は免除判決に寧ろならない方向ですね。

今後に注目したいと思います。

投稿: 東馬 | 2006/02/08 01:19

 弁護人がどこまで本気でこの論点で押しているかはわかりませんが、文献とか判例とか調べて詳細な判断を求めてほしいですね。 

 しかし、判例はみんな古いですね。
 平成18年ではどうなのか、是非判例を残してほしいものです。


参考判例 
大審院(上告審) 昭和11年 3月 5日
昭和10年(れ)第1744号
詐欺被告事件

大審院 昭和 6年11月17日
昭和6年(れ)第1216号
横領被告事件

投稿: 奥村徹(大阪弁護士会) | 2006/02/08 05:27

 委託信任関係は、家裁と被告人との間で、所有者の子供との間ではないでしょう。ここに問題を解く鍵があると思います。

投稿: それは? | 2006/02/08 06:28

>委託信任関係は、家裁と被告人との間で、所有者の子供との間ではないでしょう。ここに問題を解く鍵があると思います。

私もあれから気になって考えていました

ひょっとしたら少なくともこの判例は
本権に親族関係が必要だという趣旨で
委託信任関係と本権の両方に
必要だと言うことまでは述べていないような気がしてきました。

それは横領の時の「他人の物」であることだけを極端に重視する判例の態度とも必ずしも
相反しない気がしました。

投稿: 東馬 | 2006/02/08 09:22

私法的な知識はまるで無いのでこの場でコメントを書くのに躊躇しましたが、今回このような判決になりちょっとっていましたが残念に思っている為、素人の意見として流してください。
と言うのもこの事件が家庭裁判所の面子を守る為検察に起訴され、裁判所もその家裁・検察・裁判所と言う法の番人の立場を示したかったからこのような判決になったのでは、と思えるからです。
実際、孫のお金を使ってしまった祖母、叔父達は良くないと思いますが、孫を虐待していたわけでもなく旅行にも一緒に行っていたし、家族みんな仲が良かったと聞いています、孫はお金の問題よりも早く一緒に暮らしたいと言っているそうです。
しかし、このように名前まででて報道された今、祖母・叔父家族と幸せに暮らしていけるのでしょうか?孫のお陰で執行猶予付きとはいえ今の職・近所付き合いなどは今まで通りでは行かないはずです。
家庭内でも何千万円の財産を持った孫と職を失った(解雇されるかわかりませんが)他の家族、自分たちは食費にさえ困るのに孫にはキチンと食べさせ学校に通わせ、小遣いをくれてやらなければならず、その領収書や雑費を細かく出納帳に付けて裁判所より委任された後見人の弁護士に渡す、今後はこのような生活になるでしょう。
孫を疎ましく思うなと言っても無理があります。
これがこのような判決ではなく、家庭裁判所や検察が孫の今後の生活のことを最重要視して不起訴だが厳重注意をし後見人を他者に再委任すれば丸く納まり家族関係も壊れずにすんだのではと思います。
法というのは解釈で色々な見解があると思いますが、まず第一にみんながいがみ合うことなく暮らせるようにと考えることが大事なのではと今回思わされました。
勝手なことを長々コメントしてすみませんでした。

投稿: すけさん | 2006/12/01 18:01

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