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2006/02/07

case:一部請求の実例

各種ニュースより
 愛知万博の入場券約1万4700枚(計約5500万円)を購入した大阪市の男性が、事務手数料を差し引いた約4900万円分を支払っていないとして、万博協会が未払い代金のうち1000万円の支払いを求め、名古屋地裁に提訴した。
2月6日、名古屋地裁で、第1回口頭弁論が開かれた。
 協会は、「支払い能力が不明なので、まず1000万円を請求した」としている。

さてここで問題です。
1. 本件訴訟物は何か?
2. 本件について被告が欠席したため即日1000万円の請求認容判決が下されたとすると、残る3900万円を万博協会が回収することはできるのか? その方法は何か?
3. 仮に被告が、万博協会に販売委託手数料として500万円の債権があるから相殺すると主張し、万博協会が自認する事務手数料とは別に被告の主張する債権が認められたとすると、裁判所はどうしたらよいか?
4. 仮に3の主張を被告がせず、1000万円支払請求認容判決が確定した後に、相殺するから500万円については執行を許さないとの判決を求めて請求異議訴訟を提起した場合、これは認められるか?
5. 4の事例で、仮に被告が前訴中に3の主張をしていたらどうなるのか?

それ以外にも問題はあるが、省略

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コメント

1. 本件訴訟物は何か?

1000万円の未払い代金債権です

2. 本件について被告が欠席したため即日1000万円の請求認容判決が下されたとすると、残る3900万円を万博協会が回収することはできるのか? その方法は何か?

できないと思います。3900万円は新たに
別訴を提起することになると思います。

できるのですか??

3. 仮に被告が、万博協会に販売委託手数料として500万円の債権があるから相殺すると主張し、万博協会が自認する事務手数料とは別に被告の主張する債権が認められたとすると、裁判所はどうしたらよいか?

どちらから相殺すればよいかと言うことでしょうか?両方の債権を相殺の用に供することは
できるとおもいますので裁判所はその
2つの債権を自働債権として原告債権総額から差し引くべきかと思います

4. 仮に3の主張を被告がせず、1000万円支払請求認容判決が確定した後に、相殺するから500万円については執行を許さないとの判決を求めて請求異議訴訟を提起した場合、これは認められるか?

認められます(判例)

相殺は解除や取消のように内在的瑕疵では
ないからと説明されるのですがまだよく
イメージがつかめません。
とりあえず事実審口頭弁論終結時以後に相殺が発生していると言えばいいと思いますが


5. 4の事例で、仮に被告が前訴中に3の主張をしていたらどうなるのか?

相殺の抗弁が容れられていない場合には
4と同様の帰結になると思います。

お時間ある時に添削できましたら宜しくお願いします。

投稿: 東馬 | 2006/02/07 20:27

1. 本件訴訟物は何か?
1000万円の未払い代金債権です

少数説に立てば違いますね。

2. 本件について被告が欠席したため即日1000万円の請求認容判決が下されたとすると、残る3900万円を万博協会が回収することはできるのか? その方法は何か?
>できないと思います。3900万円は新たに別訴を提起することになると思います。
>できるのですか??

別訴提起ができるのであれば、上の答えは「できる」でしょう。そして残額請求は判例の立場ならできるけど、少数説の立場ならできない。
ここでの問題は別訴提起の他に方法はないかと言うことです。

3. 仮に被告が、万博協会に販売委託手数料として500万円の債権があるから相殺すると主張し、万博協会が自認する事務手数料とは別に被告の主張する債権が認められたとすると、裁判所はどうしたらよいか?
>どちらから相殺すればよいかと言うことでしょうか?両方の債権を相殺の用に供することはできるとおもいますので裁判所はその2つの債権を自働債権として原告債権総額から差し引くべきかと思います

いやその債権総額から差し引くと言うことが問われていたわけです。で、そうなると、1000万円の一部請求では相殺はしないことになりそうですね。

4. 仮に3の主張を被告がせず、1000万円支払請求認容判決が確定した後に、相殺するから500万円については執行を許さないとの判決を求めて請求異議訴訟を提起した場合、これは認められるか?
>認められます(判例)
>相殺は解除や取消のように内在的瑕疵ではないからと説明されるのですがまだよくイメージがつかめません。
>とりあえず事実審口頭弁論終結時以後に相殺が発生していると言えばいいと思いますが

相殺適状が基準時前に生じていたのになぜ遮断されないか、ということですけど、反対債権をいつ行使するかは債権者の自由だし、仮に請求異議は駄目だと言われても別訴請求まで駄目ということはあり得ないので、それなら請求異議も認めてよいわけです。取り消しとかの遮断される方が説明としては難しいでしょうね。

5. 4の事例で、仮に被告が前訴中に3の主張をしていたらどうなるのか?
>相殺の抗弁が容れられていない場合には4と同様の帰結になると思います。

問題はこれです。相殺の抗弁を主張したけど、外側説に立つので結局1000万円全額認容されたという場合、500万円分は相殺により消滅したのでしょうか? それともしなかったんでしょうか? そもそも請求と認容額に影響を与えない「抗弁」に供した反対債権は、その存否を審理判断したんでしょうか?114条2項の既判力は生じるんでしょうか?

投稿: 町村 | 2006/02/07 21:23

>少数説に立てば違いますね。

全部(5000万)ですね。少数有力説かもです。

>別訴提起ができるのであれば、上の答えは「できる」でしょう。

そういわれるとそうでした。

>ここでの問題は別訴提起の他に方法はないかと言うことです。

言わんとすることがわかったような気がします。判決が確定していることが前提だと思っていましたがしていないのであれば、請求の拡張でしょうか。被告が二審で控訴すれば
反訴ないし、附帯控訴で、被告が控訴しなくても新実体的不服説からすれば控訴の
利益有りとして請求額を5000万にするという
のが問題の趣旨じゃないでしょうか。

>1000万円の一部請求では相殺はしないことになりそうですね。

そうなのですか?外側説なら
明示の一部請求でも原告主張の債権総額を見てそこから実債権額を認定するプロセスを
辿り、その実債権額から相殺の抗弁を容れる場合は相殺額を控除するという形を採ると
考えます。

>取り消しとかの遮断される方が説明としては難しいでしょうね。
詳細な説明ありがとうございます。
これは中野教授のように形成権は一元的に捉え信義則や権利濫用で遮断するという
考えの根拠になりそう。


>問題はこれです。
訴訟行為と私法行為の違いですね

>相殺の抗弁を主張したけ
ど、外側説に立つので結局1000万円全額認容されたという場合、500万円分は相殺により消滅したのでしょうか? それともしなかったんでしょうか? 

この相殺できないという前提が先ほど述べましたようにわかりませんが、
500万円分は消滅しなかったものと考えます。

理由付けが難しですが裁判所による判断を
停止条件とした相殺の意思表示がなされた
とは考えられないでしょうか。
もっとも、問題は訴訟法上発生しているかで
私法上発生していてもいなくても、争いが持ち込まれる訴訟法上で決着がつくというのは
乱暴な言い方ですか?

>そもそも請求と認容額に影響を与えない「抗弁」に供した反対債権は、その存否を審理判断したんでしょうか?

之は問題の意味が難解でよくわかりません
が、反対債権が存在しなければ相殺自体
そもそもできないのではないですか?

>114条2項の既判力は生じるんでしょうか?
相殺の抗弁が裁判所に容れられていなければ、そして主文に表示されていなければ
生じないと文言解釈できる気がしますが・・・

_________________

後、本件には全く関係ないのですが
民訴の復習をしていてたまたま
町村教授の判例解説を読んでいたところ
誤植らしきところがありましたので
(既にお気づきかも知れませんが)
お知らせいたします。

書名は悠々社判例講義民事訴訟法という
もので、ケース142です(同書222頁)
そして誤植らしき箇所は一番最後の行から
3行目「名のシステム自体が・・・」というところからです。
おそらく、この部分に別の重要な解説が本来
挿入されていたと思うのです。
というのもこのように解さないと終わり方が
やや不自然と思われるからです。

投稿: 東馬 | 2006/02/08 01:56

5000万じゃなくて4900万でした。


後折角なので拙い感想を。

町村教授の二段の推定の解説は
全体としてとてもわかりやすかったということを申し添えておきます。
それと解説を読んでいて新司法試験で電子署名が出たら面白いと思いました。

投稿: 東馬 | 2006/02/08 02:06

んー、まず、相殺の抗弁に関しては、主文に包含されていない場合でも既判力が生じるのが特徴です。
それはそれとして、一部請求肯定説にたって明示された一部の1000万円の請求権の存否が訴訟物になるとし、さらに東馬さんのいうように外側説に立って相殺の主張は訴訟物になっていない債権総額から相殺の自働債権額を控除すると考えると、次のようになります。

4900万円中、1000万円の支払い請求
500万円の反対債権による相殺の主張
4900万円−500万円>1000万円なので、全額認容

そうだとすると、主張されている反対債権(自働債権)500万円が存在しても、存在しなくても、結論は1000万円の全額認容で変わらないはずです。
これでは主張自体失当で、反対債権の存否を審理判断する必要が無くなるのではありませんか?

また仮にあくまで相殺による債権の主張は審理判断するとして、その判断に114条2項の既判力が発生するとなると、それは相殺により消滅したことが確定するのでしょうが、受働債権の方の4900万円のうち500万円部分は、外側説と一部請求肯定説に立つ限り、訴訟物になっていない部分のはずです。
それは分かりますかね?
で、訴訟物でない債権の存否には既判力は生じませんから、相殺により対抗された部分も含めて、存否は未確定となり、他方相殺に供した自働債権の消滅は既判力を持って確定しているということになります。
それは片手落ちというものでしょう。

そうなると、仮に審理判断したとしても結論には影響を及ぼさず、また理由中の判断として既判力が例外的に生じるのもおかしいので、相殺を主張しても、その当否は判断するだけ無駄と言うことになります。

またまだこの種の問題はありますが、一部請求肯定説と外側説とは本来的に矛盾しているので、色々と説明のつきにくい問題が出てくるわけです。

投稿: 町村 | 2006/02/08 17:39

判例講義の220頁の末尾は、下から三行目の「名のシステム・・・」以下が重複しているので余計です。
ご指摘有り難うございます。

投稿: 町村 | 2006/02/08 17:40

>これでは主張自体失当で、反対債権の存否を審理判断する必要が無くなるのではありませんか?

相殺の抗弁を容れた以上は判断するのが
原則で、これは確かにこの訴訟に於いては
意味がないかも知れませんが、後々の禍根を断つという意味で原告には利益があるのではないでしょうか。


>受働債権の方の4900万円のうち500万円部分は、外側説と一部請求肯定説に立つ限り、訴訟物になっていない部分のはずです。
それは分かりますかね?

問いの1より当然の帰結ですね。

>で、訴訟物でない債権の存否には既判力は生じませんから、相殺により対抗された部分も含めて、存否は未確定となり、他方相殺に供した自働債権の消滅は既判力を持って確定しているということになります。
それは片手落ちというものでしょう。

>そうなると、仮に審理判断したとしても結論には影響を及ぼさず、また理由中の判断として既判力が例外的に生じるのもおかしいので、相殺を主張しても、その当否は判断するだけ無駄と言うことになります。

このあたりが実際実務上どう取り扱われているのか気になっています。
すなわち、実質的に判断したとしても原告の請求全部認容の場合は実質的に判断しなかったことにするのかです。

また、
 確かにおっしゃるとおり無駄とも言えますが
前述したように原告の利益になることも考えると一概にはいえないのではないでしょうか。

ただご指摘された被告の相殺に供した債権
だけの不存在が確定するというのは片手落ち
であることは否定できません。
そもそも、原告の明示的に分割した債権以外から控除されるのが処分権主義に反しないか
という問題があるからですね。
私的にはこの場合外側説を採る必要性はないと思います。
明示した一部の債権から控除する場合と
同様の結論になるからです。
許容性・必要性が例外的に認められる、
たとえば、外側説でないと請求棄却になる場合には原告の合理的な意思という根拠を
媒介として認めてもいいのではないかと
今のところ考えています。
ただこのような使い分けはありなのかなぁ


>ご指摘有り難うございます。
やはり誤植でしたのですね。
下三行には本来何が入る予定だったの
かは、改版まで楽しみにすることにしよう。

投稿: 東馬 | 2006/02/08 19:50

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