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2006/01/10

楽天POINT商法?

楽天が年始に新入会員を集めるキャンペーンを行い、ボーナスポイント2000点を付与すると告知した。
ところが、同じ人が何度でも色々なルートから申し込みができたらしく、2000円相当のポイントを多数取得することができた。
これに気づいた楽天は、ポイント付与を取り消して、当該ポイントによる買い物の代金(正確にはその立て替え分)を会員に請求したという。
どうする~ 楽天ブックス(瀧本さんのブログ)
おい、ミキタニ、ポイントを返せ!(Precious Prize Platz -Annex-)

厳密にはちょっとわかりかねる部分があるが、いずれにしても、一度付与すると約束して現に付与したポイントを、一方的かつ一律に取り消すと宣言し、ポイントによる買い物代金を請求したということである。

上記サイトには楽天からのメールが一部または全部掲載されているが、ポイントを利用した買い物について、キャンセルは個別店舗のキャンセル規定によるということだから、楽天としては独自に認めることはしないわけである。
 確かに個別の売買契約は出店者と利用者との間に成立しているのだから、楽天がキャンセルの当事者になるというのはおかしいが、楽天のような関与の仕方をしていれば、売買の当事者と見なされる余地はあり得る。契約責任の追及の場面ではそう解する余地があるだろう。
 契約の効力の問題として考えるなら、楽天の設定した条件(ポイントの大盤振る舞い)は出店者と利用者との売買契約の要素となっていた(少なくとも表示された動機)として、「やっぱりあれはなかったことにする」というのは錯誤無効をもたらすのではあるまいか?

 きっと民法の先生が解説してくれるに違いない。

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ニュース」カテゴリの記事

コメント

こんにちは、大変分かりやすい御解説参考になりました。一傍観者として今回の騒動を見守っていますが、事件の実体を把握するにつけ、只管事後策に出るのみで企業として説得力のない対応をしていると感じました。また請求されるとしても私も暗に動機が表示されているのではないかと解しました。これからどうなるかは分かりませんが興味深く見ていくつもりです。

投稿: 一法学部生 | 2006/01/10 16:15

私も面白がってクレジットカード払いで注文してみたのですが、発送時に店から送られてくるメールの中で支払いに関する内容は以下の通りでした。
**以下引用**

(お支払い方法 クレジットカード
小計1000円 消費税50円 送料700円 ポイント利用分1750円分
合計0円です。)

宜しくお願い致します。
**引用ここまで**

そして楽天からポイント抹消のメールが来たわけですが、もともと買ってもいい物だったので、改めて請求のメールなり電話が来るのならば、支払っても良いと考えてます。
ただし、某掲示板の中に、勝手にクレジット請求が来た、という方(嘘か本当かは微妙ですが)がいるようですが、このケースは問題ないのでしょうか?

買い物は店と私の契約
楽天の都合により店側がクレジットの請求額を私に無断で変更する行為はいかがな物でしょうか?

投稿: ぽいんと | 2006/01/10 19:00

動機が表示されていてもそれが意思表示の内容となっていなければ95条による錯誤無効を認めない立場に立つと、今回のポイントというのは内容になっていたといえるか疑問です。
購入者側が特約をむすんでそれに楽天側が合意をしていたならばともかくです。
また、あえて錯誤で処理をするのであれば購入者側の錯誤と言うよりはいわゆる共通の錯誤と考えるのが自然だと私は解しています。

なお、楽天のキャンセルの権利に関しては
なにも当事者と擬制しなくとも、規約(附合契約等)で事後取消を謳っています。すなわち
寧ろ問題とすべきは規約の各条項の有効性
ではないかと考えています。

> きっと民法の先生が解説してくれるに違いない。
吉永教授あたりが・・・

個人的にはポイントの法的性質が興味のあるところです。

ちなみに現在一部ですがポイント取消の取消がありました。(つまり返還)

投稿: 東馬 | 2006/01/10 19:15

実はポイントを取得して購入はしなかったのですが、
リンククリックするだけでポイントがいつのまにか取得されており(私は意図的にリンクを踏みましたが)、知らずにポイントがいっぱいたまっていて買ったという例も…そう言う言い訳が成り立つくらいにはお手軽でした。


まあ、無意識でやってる人がいたとしてもせいぜい数千円クラスの損ということで損害賠償とかになるのは意図的に複数アカウントとっている場合でしょうが。


複数アカウント取得の規約によるのかな?

投稿: サスケット | 2006/01/11 00:35

単純ですよ。

契約に基づく債務:
売買契約成立。
したがって、VIPPerさん達(?)は売買代金請求義務を負う。

VIPさん抗弁:
弁済の抗弁。
ポイントによる決裁が、規約又は慣例で認められている。

楽天再抗弁:
そのポイントは正規に入手したものではないので、債務の本旨に基づく弁済はなされていない。
(正規ユーザの場合、この抗弁が立たず弁済の抗弁成立)

よって、VIPPerさんは楽天に販売代金、金○万円を支払え。

投稿: 民訴屋 | 2006/01/11 12:17

typo

×売買代金請求義務を負う→売買代金「支払」債務ですね。

それから、楽天さんの再抗弁は、むしろ、VIPPerさんの抗弁の「否認」かな?

実務的にはどっちでも同じだけど。

投稿: 民訴屋 | 2006/01/11 12:21

>確かに個別の売買契約は出店者と利用者
>との間に成立しているのだから、楽天がキ
>ャンセルの当事者になるというのはおかし
>いが
おかしくないです。
楽天が既に出品者に弁済してますので、「出展者に代わって売買代金を代位請求する」との意です。

(キャンセルという語はたしかに変ですが)

民法499条1項ですね。

投稿: 民訴屋 | 2006/01/11 12:27

>民訴さんへ

ポイントの法的性質はどのようにお考えか宜しかったら教えてください。

あと仮に499条1項に基づいて請求したとしても債務者は動機の錯誤や詐欺に基づく錯誤といったことを主張することはできると思うのですがこれについて触れていないと言うことは成立しないことを当然の前提としているのでしょうか?

投稿: 東馬 | 2006/01/11 18:52

失礼しました
民訴屋さんです。

ちなみに709条は使えないのでしょうか


また昨日投稿後から考えてみたのですが
、ポイントが仮に規約から見て不正取得だとしてもサスケットさんが書かれてるように
直リンクを知らずに踏んだ場合と意図的に
複数アカウントでリンクを踏んだ場合
で結論に差異は出ないのでしょうか。
というのも前者の方は預金債権の誤振込の
H8年民事判例の射程が及びうる可能性も
なきにしもあらずかと思うわけです。

投稿: 東馬 | 2006/01/11 18:59

>民訴屋さんへ

>楽天が既に出品者に弁済してますので、「出展者に代わって売買代金を代位請求する」との意です。

これって出店者と利用者との間に売買契約成立後にも債務が残ってる場合に有効なんじゃないですか?
そんなに簡単に債務が加算できるんですか?
そもそもポイントって利用者の債務ですか?

投稿: 理系 | 2006/01/11 23:51

現在「ポイント」と呼ばれる加減算式の割引特典(現在の制度の礎はヨドバシカメラが作ったとされる)には加点の際に景表法が、そこで得た持参人式の割引券の売買時に古物営業法のお世話になるくらいで、事実上規制の野放しな状態です。

なので、ポイントマイナスなんていう貸金業者みたいな事が出来るわけで。
この事件はポイントサービスに網が掛けられるきっかけにならなきゃ良いんだけど・・・

投稿: 通りすがり | 2006/01/12 02:02

法を学んでいる者としては少し言いすぎなコメント(ブログ)ですね。
そもそも、本来の「法とは何か?」を考えれば答えは見えてくるはずです。
法は「社会的秩序を守り、弱者を守る」という物ではないのでしょうか?

今回の楽天の件では、システムのミスをついて複数人の「数」というのを武器に「社会的秩序」を乱しているのは利用者の方で楽天は被害者でしょう。
常識的に考えれば、せいぜい一人数アカウントしか取らないところをツールを使って数十・数百・数千ものアカウントをとり、システムの穴を狙って本来買わない・必要ないものを大量に買った「悪意ある行為」であります。
この場合、悪意ある圧倒的多数の人達による楽天を陥れている行為であるといえます。
なので、楽天は時間が掛かっても正規利用者とそうでない者を選別し厳選名態度をとるべきであります。

最後に、近年日本ではネットが急速に普及し法整備もままならい野放し状態です。
もし、今回の件が許されたならばシステムの穴(法の穴)をついた者が勝ちという構図が出来上がってしまうでしょう。
「完璧なシステム」という物は存在しません。
必ずしもミスは存在するものです。
真面目に商売をやっている者が少しのミスのせいで大損害を被るのはいかがなものか・・・。
そこをどう法で守っていくのかが本来の法でないのでしょうか?

投稿: 紫亜 | 2006/01/13 00:31

法を学ぶ者としては、原則と例外をきっちり付けることを重要だと考えています。

今回の楽天のケース、楽天が弱者というのは微妙ですが、通常と異なるポイントを付与することで集客キャンペーンをはり、しかも一人で複数のアカウントを取得することは否定していなかったというのですから、そのポイント付与の約束は本来守る義務があります。
ポイントというのの性質は、楽天と出店者との法律関係によって異なるでしょうが、共同の売り主という関係にあるならヨドバシカメラなどが自社で付与しているポイントと同様に販売価格の割引を求める権利ということになるでしょうし、楽天が売買契約の当事者ではないとするなら、顧客との間で、顧客の指定する売買契約上の債務について支払義務を楽天が負うという内容の支払委託契約とでも位置付けられましょうか。

ともかく、楽天は売買代金の割引または一部支払を引き受ける約束をしたわけですから、それをきっちり守るというのが原則です。

その上で、例外的に、システムの穴を突いて不当なポイントを取得した者が現れた場合に、それでも楽天がした約束が撤回できるという理屈はかなり難しいでしょう。楽天はかわいそうだ、システムの穴を奇貨として不当な利益をむさぼるのは怪しからん、というのでは、大学学部のゼミでも通らないでしょう。「可哀想法学」とかいってバカにされます。
最も考えられるのは信義則違反とか権利濫用といった一般条項の適用ですけども、線引きの問題も含め、難しいでしょうね。
楽天の規約により複数アカウントが取得できないようになっていたけどシステムはそうでなかったということであれば、話は別ですが、そうでもなさそうです。

ちなみに、誤発注の問題も、この楽天のケースも、それからパソコンとアクセサリーとを取り違えて表示した問題も、その他パソコン一台5千円とかいう表示をしてしまったという問題も、プロであるはずの事業者が甘えすぎている印象を受けます。

投稿: 町村 | 2006/01/13 14:35

正直、楽天は自業自得ですし責任は取らないといけないと思います・・・

ただミスにつけ込むというのも凄い嫌ですね。
これが当たり前の世の中を考えると凄く恐ろしいです。

楽天が責任を取る事とミスにつけ込んで利益を得る事は別にして考えたい気がします。

他にも価格誤表記を知りながら群がる人たちを見ていると非常に嫌な感じがします。
人のミスにつけ込むという事は自分がミスしたときもつけ込まれる危険性があるのに・・・
お互いにミスしたらつけ込み合うというような殺伐とした世の中は嫌すぎます・・・

法律の話では無いですが・・・

投稿: ゆき | 2006/01/13 15:18

ちょっと前に札幌の西友が、欠陥ある牛肉を売ったとかで、払い戻しに応じますといったところ、自己申告で払い戻しを認めたため、長蛇の列ができてしまったというケースがありました。
これなんか、買ってもいないのに払い戻せと言ってきた連中は詐欺ですから、刑事的にも民事的にも責任を追及されるでしょう。

法的な価値判断も常識に合致していなければならないと思うので、ミスにつけ込むのは嫌らしいという発想が法律の話に無関係とは言いません。
それこそ信義則とか禁反言とか権利濫用とか公序良俗とか不法原因給付とか・・・、おかしな結論を是正する宝刀は用意されているところです。

投稿: 町村 | 2006/01/13 15:59

そうなると実際今回の件でミスを知りながらポイントを取得して買い物している場合はどのように考えられていますか?
何パターンかに分かれると思うのですが...

・ANAの会員ではなく会員番号を適当に入れて取得した
・常識の範囲外の数の複数アカウントを取得してポイントを取得した
・1もしくは数アカウントのみでポイント(ANA以外もしくはANA会員)を取得した

3番目は私も特に問題はないかなと思いますが他の件はどうでしょう?
まあ他にもパターンがありそうですが大まかに考えると上記で分けられそうな気がします。

投稿: ゆき | 2006/01/13 16:10

あ・・・後は偽名で複数アカウント取ってる場合もありますね。
これは問答無用でアウトだと思いますが・・・

投稿: ゆき | 2006/01/13 16:12

その具体的なパターンについてはよく知らないのですけども、
ANAの会員が楽天会員になるとボーナスポイントがつくということでしょうか?
だとすると、適当な会員番号を入れて登録できても、そもそもポイント付与の条件が満たされていないのだからアウトではないかな。
常識の範囲外の数の複数アカウント取得というケースは、難しいところですね。どのような数をもって常識の範囲外とするかということも、こうやって書いている中でも明らかでないですから。数千なのか、数十なのか?
アカウントの取得というのも、楽天利用の基本契約なのでしょうから、基本契約締結の目的がないのに意思表示をしたという場合は、無効とすることも考えられないではないです。心裡留保の一種でしょう。

事実関係について誤解しているところがあったら、是非教えて下さい。

投稿: 町村 | 2006/01/13 16:47

> ANAの会員が楽天会員になるとボーナスポイントがつくということでしょうか?

ANA?のシステムのミスで会員でもない彼我が適当な番号を入力でもポイントを取得できていたようです。
楽天もこれに関しては問答無用で取り消し条件にしているようです。

私も一番判断が難しいのは大量取得の人だと思います。
これに関してはどういう判断が出るのでしょうね・・・

現在あちこちでこの問題に関して弁護士さんやその他法律関係者の方のコメントが載っていますがどこも楽天の責任ばかりで悪意のある注文者の事が触れられていないのがちょっと納得いかなくて書かせていただきました。

楽天の責任を問うのは当然ですがこちらの方も是非触れて貰いたいものです。

投稿: ゆき | 2006/01/13 16:58

「悪意者」と「背信的悪意者」は、区別してもらわないと。
大体、楽天さんは、法に禁止が書いてなければ、
何をしてもいいという企業姿勢のとこですし。
利用者もそれに従っただけ。
そもそもキャンペーンなんだし、これも広告と思えば、効果はあったでしょ。

投稿: ぬこ | 2006/01/13 20:36

>「悪意者」と「背信的悪意者」は、区別してもらわないと。


この境目が難しいのが一つ。

単なる「悪意者」も信義則上の作為義務ないし不作為義務を楽天に対して負うのではというのが一つ

また何についての「悪意」なのかが一つ

善意者保護を図れば足りるのではないかというのが一つ。

>利用者もそれに従っただけ。
じゃぁ、当然覚悟していないといけないですよね
包括的にとはいえ規約に同意している以上
ましてや楽天がおっしゃるような企業であるならなおさらなおさら。

投稿: 東馬 | 2006/01/13 21:37

民訴屋さん、そのお名前でそのような主張をなさるんですか?(笑)

楽天には、ポイント重複取得・利用が可能という情報が流れた
去年末には、通報や問い合わせが寄せられていました。
また、仕事始めとなる4日以降の電話での問い合わせに対しても
明確な答えを返していません。(この時の音声は記録・公開されています)
その後、7日の一部アカウント凍結まで、なんの対策もとりませんでした。
(ANAのキャンペーンのみ、4日夕方に1人1度限りという告知がなされました)

不正行為者がシステム不備をついたと言いますが、それ以前に
問題要因は楽天側の人的ミス、もしくは作為的な対応によるものだったと
私は思うのですが、楽天を擁護されている方は微塵も思われないのでしょうか?

少なくとも、年始に利用上の注意の告知だけでもされていれば、その多くの
”自覚のない”不正行為者は生まれなかったはずです。逆から見ると、
なんの対応もされなかったために、不正行為者に”されてしまった”という方も
少なからずいらっしゃると思います。
複数取得・利用の件を規約で制限せず、制限枚数も設けずに高額クーポンを
あちこちに放置すれば、今回のようになることは小学生でもわかることでしょう。

リアルタイムでウォッチしてきた私には、楽天側は、過失という形を装って
故意にこのようなことを行ったという認識がありますが、その後、楽天が
とっている一連の行動も支離滅裂で、その行方次第では、これから成長が
期待されるネット消費社会を崩壊させてしまうほどの危険性を孕んでいます。

楽天は独自の判断で「不正」の線引きを行い(しかも基準は非公開です)
同じく独自の判断で、利用停止措置やポイントの剥奪を行っており
利用者はどの立場にあるかに関わらず、すべて蚊帳の外に置かれています。

正確な判断は、楽天による不正利用判断基準の開示を待ってからに
しますが、今回の件において、形はどうあれ大きな売り上げを得た上で
「一切のミスを認めない」「責任は不正利用者にある」という姿勢を
とり続ける楽天という企業に対し、どう考えればよい心証を持てるのでしょうか?

この不可解な状況で、楽天を擁護できるという心理が私には理解できません。

投稿: 今留 | 2006/01/13 22:12

>>町村さん

>ANAの会員が楽天会員になるとボーナスポイントがつくということでしょうか?

ポイント付与ページは掲示板などの直リンクからでもアクセスできるようでした。
そのページに適当な数字(チェックは桁数だけ?)を入力するとポイントが加算される仕組みです。
また掲示板などのリンクからいきなりポイントが加算される直リンクもあったそうです。
ポイント付与ページに記載している規約もころころ変わっています。
真偽はわかりませんが、入力された数字のログを取っていなかったそうです。

この場合誤入力等で間違った数字を入力してしまった場合は不正にあたるのでしょうか?
正常にポイントが加算されたので誤入力に気付かなかったなど
そして正規会員かそうでないかを確認する関門を実質楽天が設けていなかった事についてはどうなんでしょうか?
チェックは桁数だけだとしても入力例で桁数が表示されているし、直リンクなので前段階の確認がないので、試しにあるいはたまたま入力したらポイント付与された。
付与されたんだからこれは正規なものだ、あるいはよくわからない内に加算されてるしまあいいか、と考えてしまってもおかしくないと思うんですがどうでしょう?
また直リンクでいきなりポイントが加算されるシステムで取得してしまったことは不正にあたるのでしょうか?

投稿: 理系 | 2006/01/13 22:45

楽天側のFAQが公開されたようです
http://www.rakuten.co.jp/com/faq/information/20060112_answer.html

取得したことよりも使用したことの方が
違法性ならぬいわば不正性が高いのではないでしょうか。

投稿: 東馬 | 2006/01/14 14:33

まったく木で鼻をくくったような、反感を覚えるFAQですね。

ポイント付与というのは契約の一種(あるいは契約の効果の一部といった方が正確)ですが、契約の一方当事者が、他方当事者になんら合意を求めることも情報を開示することもなく、契約で定められた内容の取り消しだの取り消しの取り消しだのができると考えているあたり、楽天には法律家は関与していないとみました。

投稿: 町村 | 2006/01/14 23:20

理系さんのおたずねですけど、想像するにANAの会員が楽天会員となればボーナスポイントを差し上げます、ということであれば、その通りの効果が発生して然るべきじゃないでしょうか?
正規の会員が誤入力した場合は、本来は無効になるのでしょうが、それが受け付けられたのなら、誤入力をもってボーナスポイントを否定する根拠にするのはおかしいでしょう。条件は満たしているわけですから。
他方適当な数字を入れただけでポイントがついちゃったという場合は、やはり無効でしょうね。そのポイントを使うことは正当化されません。
でも、ポイントがあるという前提でした買い物は、錯誤無効が成立しうるだろうと思います。それはこのエントリに書いたとおり。不正だと知りながらやった人は一種の重過失かな。
ポイントを使った買い物が錯誤無効となるのは、だからポイント付与の条件に合致しないことを知らないでポイントがついたので、それを使ってしまったという相当レアなケースだと思いますけども、それなら品物を返して代金を戻してもらうことになります。消費してしまったなら、現存利益でしょう。例えばミカンを買って、食べちゃったのなら、代金だけ返金してもらえることになりそう。
当然、売り主たるお店に迷惑がかかります。そのお店の損害は、下手なシステムを設定した楽天に、お店の方から賠償を求めればよろしい。

投稿: 町村 | 2006/01/14 23:32

>契約の一方当事者が、他方当事者になんら合意を求めることも情報を開示することもなく、契約で定められた内容の取り消しだの取り消しの取り消しだのができると考えている

それを可能なら占めるのが約款(規約)というものではないのですか。事前に包括的同意を得ておきいざというときに、相手側の同意を得ずにご都合的に規約に基づき取り消したりする。

ただ取消の取消なんて法律答案で書いたら
大きく×をくらいそうであります。
法律的には取消+更改でしょうか。

あと錯誤に関してはエントリに書かれていたように民法の先生の解説がどこからか出てこないかな。

投稿: 東馬 | 2006/01/15 00:26

ポイントシステムって、出店している店に売り上げ分のポイントを負担させてモール全体の客寄せにしている、楽天にとっては他人の褌。
プリペイドカードみたいなもんだから未使用分の内部留保が結構あったんで、「今回はウチが一部負担してあげるからキャンペーン協力しろ」的な安直な考えで企画したんでしょ。
総アカウント数を多く見せかける為に複数取得の規制もせず、目先の利益を追いかけた馬鹿企業と愚かなユーザーを比べたら、‘真面目な商売’を端からする気の無かった馬鹿企業の方が責任あると思いますが。
出店する側には多大な手間と時間、書類と責任を押し付けるのに、見通しの甘い糞企画と糞システムを出した自社に関しては無責任というところを見ても、楽天がどういう企業であるかが明確になりますね。
転勤の度にいろいろな物を購入してましたが、もう使うことはないでしょう。

投稿: hide-oh | 2006/01/15 00:34

東馬さん、約款で「本契約は当社の好きなときに理由を開示することなく取り消せるものとします」と書いてあっても、それは無効じゃないでしょうかね?
例文というかなんというか。
プロバイダの約款にも類似の規定「当社が不適当と認めたものは削除できる」みたいなのがありますが、そういう恣意的運用に包括的同意を定めていても、その通り効力があるとしたら契約の体をなさないのだから、無効だと解するべきだと思います。

約款というのは交渉の余地がないだけに、不当条項の効力は厳しく解され、約款作成者の不利に解釈されて然るべきですから。

投稿: 町村 | 2006/01/15 01:02

>約款で「本契約は当社の好きなときに理由を開示することなく取り消せるものとします」と書いてあっても、それは無効じゃないでしょうかね?例文というかなんというか。

そうですね。私はこのエントリの最初の投稿のように規約の有効性が大いに問題にされるべきと思います。ただ今回の場合いわば不正取得者に銛を刺すのではなく網を掛けてしまったことで問題をさらにややこしくしてしまっているんだと思います。

町村教授も、これは明白にアウトと考えられている利用者に楽天が規約に基づいてポイントなどを取り消す場合は例文解釈とは思わない
のではないでしょうか。
つまり、一律に効力を否定するのではなくて
相対的に効力が判断されるのでしょう。

>約款というのは交渉の余地がないだけに、不当条項の効力は厳しく解され、約款作成者の不利に解釈されて然るべきですから。

報償責任的な考え方でありますが
利用者もいちいち楽天の合意を得ずにすむというメリットもそれなりにあるわけで一概に
約款作成者に不利に解釈されるというのは
やや疑問です。


>そういう恣意的運用に包括的同意を定めていても、その通り効力があるとしたら契約の体をなさないのだから、無効だと解するべきだと思います。

これに関してですが、約款に判例は一貫としていわゆる「意思の推定の理論」を採用しているので契約の体をなさないから無効という
見解は採らず、反証がない限り拘束される
と言うことになるでしょう。


投稿: 東馬 | 2006/01/15 01:34

約款の効力は、おっしゃるとおり、個別的相対的に解釈されます。
例文というのも、特定の条項を特定のシチュエーションで無効とする時のレトリックです。

なお、約款作成者の不利に解釈するというときに、報償責任という言い方はしないでしょう。報償責任というのは不法行為の帰責根拠で、約款の効力や解釈の問題とは場面を異にします。

約款作成者とその相手方とが、約款使用についてどちらもメリットがあるので、両者に中立的に解釈すべきだとおっしゃるのであれば、それは同意できません。内容形成面での有利さは作成者にしかありません。そしてその一方的な内容形成の故に、契約自由の原則は後退して行政規制や司法の解釈が介入することになるわけですから。
なお、交渉を省けるメリットというのは、作成者は多数の相手に個別交渉を省けるという多大なメリットがあるのに、その相手方は一回の交渉を省けるというだけですから、この点でも作成者とその相手方が同等のメリットを享受しているとは言い難いでしょう。

ま、確かに一概には言えませんけども、約款作成者の自由裁量で決められるという条項は、契約の両当事者にとって合理性が認められる限度内での裁量しか認められないという解釈にはなりそうです。それを合理的意思の推定と呼ぶかどうかは、用語の問題かもしれません。

投稿: 町村 | 2006/01/15 01:52

>なお、約款作成者の不利に解釈するというときに、報償責任という言い方はしないでしょう。報償責任というのは不法行為の帰責根拠で、約款の効力や解釈の問題とは場面を異にします。

いくら報償責任的とぼかしたとはいえ、
自分で取消の取消はないだろうといっておいて誠に恥ずかしい限りです。
ただ、報償責任は不法行為に限らず
損害賠償における帰責性の根拠になり得ます。すなわち、契約の場面でも履行補助者
といった場面で問題になりますです。
ですから、場面を異にするとまではいえないのではないでしょうか

投稿: 東馬 | 2006/01/15 02:21

上の方で、ポイントを大量に使用した人が罪なような書き方をされていますが、「配布されていたポイントには上限があった」、と多くの方は思っています。キャンペーンが「中止」されたという発表は「9日」。「4日」の時点では「キャンペーンの定員に達し終了しました」、という表示になっていました。
ポイント獲得者にとって見れば、キャンペーンの定員の中に入ったものと思い、ポイントが有効であると考えたでしょう。
大量にポイントを獲得したとしても、定員の中に入っていて有効であると考えたなら、一定期間で消滅する期間限定のポイントでもありますから使用するのも当然ではないでしょうか。

投稿: 通りすがり | 2006/01/15 04:34

契約責任も不法行為責任も、いずれにしても民事責任ですし、報償責任的な考え方が帰責根拠となっても不思議はありませんね。
でも約款の解釈や契約の(条項の)効力について「約款作成者に不利に」というのは、その約款により利益を受けるのが作成者だから、という点を根拠にしているわけではないように思います。
何を根拠にしているかというと、約款の内容を決定するのは一方的に約款作成者の方なので、本来的に作成者に有利な内容となっており、しかも機械的に意思解釈を施せば、ますます作成者に有利な結果となるでしょう。が、それでは契約当事者間の公平が損なわれるので、解釈適用の場面では作成者に不利に解釈することで公平を多少なりとも回復しようということではないでしょうか?

投稿: 町村 | 2006/01/15 13:17

>それでは契約当事者間の公平が損なわれるので、解釈適用の場面では作成者に不利に解釈することで公平を多少なりとも回復しようということではないでしょうか?

民法上はあくまでも当事者は対等という建前です。だから裁判所は町村教授がご指摘されるような判断まで踏み込むことは躊躇しているのか民法90条や一般条項といった解釈を
消極的に用います。

これに対して消費者契約法では町村教授
のご指摘は妥当と考えます。けだし、同法の
趣旨目的が実質上は不平等である当事者間の法律関係を消費者になるべく有利に
解釈しようという目的論的解釈をとくに
謳っているからです。

このような温度差は身近なところで学納金返還訴訟とかで如実に表れているような気がいたします。

投稿: 東馬 | 2006/01/15 13:58

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◆今日の一言 └────────────────────────  当初の予定を変更して、緊急特集をお届けいたします。             (楽天がやってくれました) ◆本文(クレームに対応する) └──────────────────────....... [続きを読む]

受信: 2006/01/11 10:25

» 楽天暴走 [微鬱なる日々]
楽天がポイント詐欺をやらかした模様 俺は乗り遅れてしまったから1200ポイントくらいしかもらえなかった上に 漫画3冊注文したのに売り切れで2冊しか来ず その上に代引手数料を取られてしまった負け組みです。 どうでもいいけど、こんな事態が起こ....... [続きを読む]

受信: 2006/01/11 22:15

» 楽天のスーパーポイントを貯める方法 [SOHO's Club Blog]
★ Infoseekポイントメール メールに書いてあるURLをクリックしてポイントをゲットします。 ※ポイントを獲得するためには、楽天会員IDでログインする必要があります。 いまなら、楽天市場で使えるポイント100ポイントをもれなくプレゼント! 詳しくはこちらのページまで... [続きを読む]

受信: 2006/01/14 17:01

» 冤罪です [鉄道ファンページ]
中島産 チビまろ完熟みかん(普通温州)5k【送料無料】ある祭りの影響で楽天のポイントを一度取り消された。一時マイナスになり、犯罪者扱いされた。冤罪です!後で取り消しを取り消されたからよかったがjoshinで買い物をして届いた後に取り消すな!何でマイナスだった...... [続きを読む]

受信: 2006/01/14 22:49

» ライブドアの次に吊し上げられるのは? [SHODO(衝動)]
■当局が、ライブドア強制捜査前から注目している楽天(証券)組成の不動産ファンド( [続きを読む]

受信: 2006/01/27 13:33

» 学納金返還訴訟、最高裁が授業料返還命令 [東急リバブル東急不動産被害者の会]
入学辞退した大学に対し、受験生がいったん払い込んだ入学金や授業料など学納金の返還を求められるかが争われた16件の訴訟の上告審判決が最高裁第2小法廷(古田佑紀裁判長)であった(2006年11月27日)。同小法廷は、消費者契約法施行後は、新年度開始前に入学辞退を申し出れば、大学には授業料などを全額受験生に返す義務があるとする新判断を示した。 「合格者が大学に入学することを約束した『在学契約』には、実害を超える賠償を禁じた消費者契約法が適用される」。その上で、「大学に損害が生じるのは入学年度が始まる4月... [続きを読む]

受信: 2006/11/27 21:33

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