« 雪の南山 | トップページ | 58年ぶりの大雪 »

2005/12/18

誤注文問題で錯誤を模索

みずほ証券にどうやって利益を返すかをめぐり、UBSは錯誤無効ということにしたいらしい。
(問題)その新聞記事の以下の一節を読み、おかしな点を探せ。

---
契約を無効にする場合、民法の「錯誤による契約」にあたることを理由にするとみられ、一般的な取引でも、売るつもりのないものを取り違えて売ってしまった場合などに適用される。
 ただ、無効が成立するためには、売った方に重大な過失がないことが条件になる。専門家は「異常を知らせる警告を無視して発注したみずほに重過失がある可能性が高く、無効が成立するのは難しい」(野村修也・中大法科大学院教授)とみている。
 仮に、契約無効が成立するとなると、特定の投資家の契約だけでなく、個人を含むすべての投資家との契約が無効と見なされ、UBS以外でも利益の返上の義務が生じることになる。実現は困難な状況だ。
---
法科大学院生がこのような答案を書けばたちどころに、相対的解決とか、市場取引とはいえ一つ一つの契約の効力が他の契約の効力に直結するわけではないとか、色々コメントされて、書き直しとなることであろう。

ちなみに、UBS証券の側からみずほ証券に対し、民事調停を申し立てて、契約無効を前提とした返還額の調停による決着を図れば、リスクも遠のくのではないかな。
あるいはみずほ証券から訴訟上請求してもらって和解で落とすとか、錯誤無効については自白して重過失の抗弁は出さないとか・・・。
返済額については議論の余地があるのだから、訴訟上の解決を求めてもあながちなれ合いの誹りは受けないと思うのだが。

ご指摘多謝!

|

« 雪の南山 | トップページ | 58年ぶりの大雪 »

法律・裁判」カテゴリの記事

コメント

訴訟外での解決なのだから,そもそも相対効とか絶対効とかの問題ではないような気がしますが。

>錯誤無効については自白して重過失の抗弁は出さないとさないとか・・・。

それこそ代表訴訟ものでは・・・。
するなら,重過失の抗弁を出した上での和解でしょう。

ちなみに,USBではなくUBSですね。

投稿: 学者だなあ | 2005/12/18 19:27

>ちなみに,USBではなくUBSですね。
お恥ずかしい。指が勝手に逆にしてしまいました。これから直しにいきます。

しかし無効とすると他の約定も無効になるかのようなことを言っているのは新聞記事の方なのですが。

それと、重過失を主張しないか主張した上で和解するかで代表訴訟のリスクは変わらないでしょう。

ま、これだけ巨額の問題だと調停だすのも手数料が馬鹿になりませんが。

投稿: 町村 | 2005/12/18 20:51

民事訴訟法につなげるとADRの利用可能性というのもでてきましたね。

投稿: 岡本哲 | 2005/12/19 00:44

失礼します. LS生です.
UBSの主張は別にみずほから返還請求されることを前提に重過失だの錯誤だのの主張を考えてるんではなくて, 株主や国税に説明できるように, 「あの取引は無効である」とのお墨付きを東証に出してくれ, という話なのではないでしょうか.
(東証の決定がどのような拘束力を持つのか私にはわかりませんが, 東証が無効と判断したから返還した, ということであれば, 少なくとも代表訴訟において, 過失がなかった, と言えるようにはなるかと思います)

そして東証が無効と判断するのであれば, すべての取引について同じように無効でなければおかしいはずだと思います.

それよりもなぜ返還する必要があるのかが零細投資家でもある自分にはわかりかねますが.

投稿: さと | 2005/12/19 01:31

さとさん、
東証が無効の御墨付きを出してくれと言う趣旨のニュースとは思えませんでした。そういうことなら、他の取り引きに影響がおよぶと言うのも理解できないではないです。
しかし東証は、すでに有効を前提に強制決済まで実行してしまった(子会社ですが)のだから、いまさらあれは無効でしたとはいえないでしょう。

なぜ返還する必要があるかというのは、やはり、明日は我が身かもしれないと思うからではないでしょうかね。

投稿: 町村 | 2005/12/19 06:18

UBSの意図は、東証による無効の裁定が欲しいということだときいたのですが、まぁ、噂ですから、あてになりません。

> 明日は我が身
UBS自身が、かつての当事者で損をかぶっています。

投稿: tedie | 2005/12/19 08:10

>なぜ返還する必要があるか
これに関しては前に各メディアが
いろいろ推測されてます
http://www.asahi.com/business/update/1214/112.html

私的解決方法としては
・共通錯誤
・相手方の悪意重過失を錯誤要件とする(善意無過失者には対抗できない)


>その新聞記事の以下の一節を読み、おかしな点を探せ。
無効が成立というのは違和感があります
同じく契約無効が成立というのも


投稿: 東馬 | 2005/12/19 21:08

本音では、UBSだって返したいはずがないと思うけど…
みすみす利益を放棄するような甘い考えをもってるなら、リスクをとって買い向かう訳がない。しかも、代表訴訟を食らう可能性だってあるんだから。
要は、所轄の官庁に睨まれるから仕方なく利益を放棄したいだけ。
ただ、そのための良い方法がなかなか見付からない。経営陣は板挟みですな。

投稿: アレクセル | 2005/12/21 04:29

民法は専門でないので、政治的な立場からの
意見ですが...

もう少し厳しく出てもいい監督官庁までもが
取引の有効性を主張している以上、
UBSが契約無効で返還しても正当な利益を
放棄したとして株主に訴えられますよね?
米国の裁判では数百億円の損害賠償命令も
珍しくないわけで...

もしそうなったら、UBSは利益を返した上に
株主に賠償しなければいけないわけで、
それもおかしな話だと思います。

結局、これを有効な取引と見做し、それを
公言してしまった東証や政府に問題があるかと。

投稿: akiba | 2005/12/21 14:41

政治的な話でいうならば、
姉歯物件を買わされた人々の売買契約解除に伴う原状回復請求権(要するに売買代金返還債権+引っ越し費用)と損害賠償請求権をUBS証券などの儲け分で買い取ったらどうかな。
その買い取った債権は、ヒューザーとか木村建設とかその取締役らとかから取り立てればよろしい。

まあ株主代表訴訟に耐えうる話ではないけれど。

投稿: 町村 | 2005/12/21 15:33

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/31412/7678544

この記事へのトラックバック一覧です: 誤注文問題で錯誤を模索:

» やっぱり基本的なことがわかっていない [民法教員のタテマエ? 2nd ed.]
#「わかっていない」のは私がわかっていないと言うことです。前の記事では若干言葉足らずだったかもしれません。 みずほ証券のジェイコム株誤発注問題。南山大学・町村先生のMutimulog「誤注文問題で錯誤を模索」では、今回のご発注を利用して巨額の利益を上げ、この返還(吐き出し)を表明したUBS証券(これもややこしい名前だ、、、)が、錯誤による契約無効という構成をとれないか模索しているというニュースを紹介しています。 こういう構成が検討されるということは、みずほ証券が「売却」した61万株の買主... [続きを読む]

受信: 2005/12/18 20:42

» UBS「契約無効」で返上打診 誤発注巡る巨額利益(朝日新聞) [tonmanaanglerの日記]
[http://www.asahi.com/business/update/1218/004.html:title=UBS「契約無効」で返上打診 誤発注巡る巨額利益]  契約を無効にする場合、民法の「錯誤による契約」にあたることを理由にするとみられ、一般的な取引でも、売るつもりのないものを取り違えて売ってしまった場合などに適用される。  ただ、無効が成立するためには、売った方に重大な過失がないことが条件になる。専門家は「異常を知らせる警告を無視して発注したみずほに重過失がある可能性が高く、無効... [続きを読む]

受信: 2005/12/19 15:15

» みずほ証券、ジェイコム株誤発注 UBS「契約無効」で返上打診 [40代の私にとっての最新情報・重要ニュース]
『みずほ証券による誤発注問題で、約120億円の利益を出したUBSグループが「契約の無効という形で利益を返上できないか」と日本証券業協会などに打診していることが、明らかになった。 同協会は利益を得た証券会社が日本投資者保護基金に自主返上する形で決着を模索....... [続きを読む]

受信: 2005/12/19 19:11

« 雪の南山 | トップページ | 58年ぶりの大雪 »