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2005/12/27

裁判所が恐喝に債務名義を与えた事例(?)

ボツネタでも紹介されていたが、是非、次の判決を読んで頂きたい。
京都地判平成17年12月17日
てっきり裁判官名は匿名となっているかと思ったが、堂々と「中村  隆次」とある。

判決文を読んだ印象では、表題のような印象を受けたのだが、皆さんはどう感じるだろうか?
市民に「殺したろか」と怒鳴る市役所員は首にして良いと思うが、だからといって、それをネタに金をせびるのは、普通恐喝と呼ぶのではなかろうか?
判決が認定した原告の夫の発言(Aというのが問題の市役所員、Bはその上司)
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原告の夫は,Aに対し,「アホ,ボケ,カス。」と大声でAを罵倒し続け,Aも,「うるさい。ガタガタ言うなら,こっちへ来い。」と言った。
  (5) そこで,原告の夫は,B課長に電話をし,「お前がBか。わしはさっきAのぼけと話していた者や。わしは組を束ねている者や。これから若い者と街宣車で乗りつけてお前らを皆殺しにしてやる。」と一方的に捲し立てた。
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また、市役所に乗り込んで抗議をした原告が殺したろかと言われて帰宅した後に、原告の夫がした発言
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「おっさん殺したろうか。けじめつけたる。帰れ。」と怒鳴られ,また,「俺は,I組の幹部や。けじめつけたるから覚悟をしとけよ。嫁さんの親戚はJ会の組長や,かわいがってもらっている。そっちの方からけじめがあるやろう。帰れ。」
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だそうである。

またこういう輩が、市役所員に怒鳴られたくらいで、PTSDですか!?

「自分はひどい扱いを受けるようなどうしようもない人間のように感じられ、しんどくて何も出来ない」と医者に訴えたそうだが、以下略

ま、判決文からは分からない事情が有れば別だが。

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コメント

なぜかこういう裁判例は読まずにはいられません。

>てっきり裁判官名は匿名となっているかと思ったが、堂々と「中村  隆次」とある。

裁判官名が匿名とはどういうことですか?
判決文では必ず末尾に裁判官名が明記されていると思います。

>それをネタに金をせびるのは、普通恐喝と呼ぶのではなかろうか?

裁判所外であれば構成要件に該当するかも知れませんが、給付の訴えを取るのであれば普通恐喝と呼ばないと考えます。


>またこういう輩が、市役所員に怒鳴られたくらいで、PTSDですか!?

たしかに。経験則が問題になるかも。。。
PTSDを認定するよりは慰謝料発生+過失相殺類推(とくに原告の夫の)あたりで主文で請求棄却というのが
経験則に適っているのかなぁ

でもガラスのハートをもっているひとだったのかもしれません。
あと、関西弁というのは日常的に聞き慣れていない人から見ると攻撃的に受け取られるそうですが、原告からすれば普通の対応だったのかも知れません。でも前者であれば
過失相殺類推事由になりますし、後者であればAの対応も同じように考えられますね。

17日の裁判例と言うことですが
もう上訴されたのでしょうか。

投稿: 東馬 | 2005/12/28 02:39

あと
原告の夫という要素は請求権成立時点では除外して構わないと考えているのかも知れません

純粋にA対原告でみると暴行はともかく、恐喝云々の問題がそもそもないですから要件を充たす以上成立自体を否定することは難しいのではないかなと思われます。

投稿: 東馬 | 2005/12/28 02:48

民事ではないですが、関西のある事件。
あまりにも理不尽で訳のわからないことをいう人間に対し、イライラして大声で

「おまえ泣かすぞ。こら。」

と怒鳴ったところ、脅迫罪認定されそうです。
(痛い目あわしたろか!とか、しばいたろか!とか、殴るぞ!とか、殺すぞ!とかの言葉は全く言ってないのに・・・・)。

最初の市役所職員の「殺したろか」も、脅迫罪になるんでしょうか。

投稿: きゃんた | 2005/12/28 03:24

東馬さん、きゃんたさん、色々コメントありがとう。

裁判官がこんな判決公開するのがよく恥ずかしくないなと思い、匿名にしてないことを注目してみました。
また裁判所を通じた恐喝、という趣旨ではなかったのですが、それがあり得ないということも、またないでしょう。詐欺なら裁判所を使った詐欺が最近の流行でもありますし。

この判決も、権力を笠に着て言いたい放題いう木っ端役人に鉄槌を下すというつもりだったのかもしれませんが、他方でこれが賠償請求の根拠になるのなら、民暴に格好のネタを提供するような感じがします。

東馬さんのいうように因果関係の認定、あるいは損害の発生自体が問題で、本当にあったことならば、過失相殺により慰謝料5000円を認容するという程度じゃないでしょうか。

それよりも、原告の夫を刑事告発したらどうかと>市役所

投稿: 町村 | 2005/12/28 11:23

本件は「市民」を笠に着てやりたい放題のチンピラをのさばらせるという希有な事例として紹介する次第である(関係者仮名)。

ってなとこかな。判時の囲み解説書くとしたら。

投稿: h | 2005/12/28 18:12

証拠関係を見ていないので、判決の当否は論じにくいのですが、要件事実以外の勉強もしっかりやってほしいという気がします。

投稿: yjochi | 2005/12/28 19:01

公務員Aの発言は,公務員としては問題だけど,いってみれば,原告とAが口喧嘩をしただけであって,そんなもんで原告がPTSDを発症したと認定するのはもちろん(交通事故に遭遇しても,滅多にPTSDは認定されていませんし),そもそも精神的苦痛が生じたという認定も,世間の感覚からすれば,ズレているような気がします。

投稿: J | 2005/12/28 21:44

この裁判官は、75年合格のようですから、20年以上の経験を持っているんですね。京都地裁では合議体の裁判長になっていますし。
任地はネットで出ている情報を見る限り、ほとんど関西のようです。

投稿: h | 2005/12/29 11:56

なにか市役所で不愉快な思いをしたことがあったのではないか、なんていうのは勘ぐりすぎでしょうが、何か特別の事情があったのでしょうかね?

ちなみに同期には先頃急逝された筏津・名大教授の奥様や、あの藤山雅行裁判長や、司法制度改革で殉死された一人の原田晃治さんなどがおられるようです。あ、民訴学者になった池田辰夫先生も。

投稿: 町村 | 2005/12/29 15:02

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