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2005/12/03

jugement:給付訴訟の訴えの利益が否定された事例

またまたロースクール生向け判決だ。
東京地判平成17年11月30日
給付訴訟である特許権移転登録抹消登録手続請求が、既に被告から原告に移転登録がなされた後にあっては、特段の事情のない限り、真実の権利関係に合致しない登録だったとしても、その抹消を求める利益がないとされた。
簡単に言うと、AからBに不実の移転登録がされて、後にBからAに移転登録がなされたなら、もう最初の移転登録を抹消する利益は原則としてなくなるということだ。

ついでに、被告が登録名義人だった期間についても原告に特許権があったことの確認を求めているが、その訴えがどう扱われたかは、この時期のロースクール生なら全員見なくても分かるはずだ。でも判決文はちゃんと読もう。

以下、判決文の引用
 「まず,被告に対する本件各移転登録の抹消登録手続を求める訴えについて検討すると,原告が求めているのは,本件各特許権に基づく,妨害排除請求類似の移転登録の抹消登録手続請求であると解されるところ,当該訴えは,権利行使の妨げとなるものを排除する必要がある場合に認められるものであるから,真実とは異なる権利変動を示す登録が過去にされていたとしても,現在の登録名義が現在の権利関係に一致している場合には,特段の事情がない限り,過去の登録を抹消することを求める法律上の利益がないというべきである。本件では,本件各特許権について,いったん被告を権利者とする本件各移転登録がされたものの,その後,原告に再度移転登録がされているのであるから,登録上被告が権利者であるとの状態はすでに消滅しているものである。
 そして,被告は,仮に本件各訴えについて訴えの利益が肯定された場合,登録上被告が権利者とされていた平成16年7月29日から平成17年2月23日までの間の本件各特許権の帰属について,前記争点2における主張記載のとおり,自己に帰属すると主張するものであるが,他に民事上の法律的な主張をするものではない。また,原告においても,前記期間の登録上の権利者が被告とされていたことを是正すべき法律上の利益があることを主張せず,本件記録上,他にこれを認めることもできない。
 以上のことからすると,被告に対する本件各移転登録の抹消登録手続を求める訴えは,訴えの利益を欠くものといわざるを得ない。
(3) 次に,原告が,平成16年7月29日から平成17年2月23日までの間,本件各特許権の特許権者であったことの確認を求める訴えについて検討すると,この訴えは,過去の一定期間の権利関係の確認を求めるものであり,特段の事情がない限り,即時確定の利益を欠くものとして,訴えの利益が否定されるべきである。
 そして,被告は,前記(2)のとおり,仮に本件各訴えについて訴えの利益が肯定された場合,この間の本件各特許権の帰属について,自己に帰属すると主張するものであるが,現在の権利関係についての主張をするものではなく,他に民事上の法律的な主張をするものでもない。また,原告においても,前記期間,特許権が原告にあることの確認を求める法律上の利益があることを主張せず,本件記録上,他にこれを認めることもできない。
 そうすると,原告が,前記期間において,本件各特許権の特許権者であったことの確認を求める訴えも,訴えの利益を欠くものと解される。」

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コメント

またまた、本人訴訟ですかね?

原告は、確認訴訟ではなく、当該期間の特許権侵害による損害賠償請求を請求に立てればよかったのではないでしょうか?

裁判所が「他に民事上の法律的な主張をするものでもない」を連呼しているところが、なんか、悲哀感を漂わせているように感じます。

投稿: こう | 2005/12/04 01:38

そうですね、損害賠償なら本案判決をせざるを得ないでしょう。認容か棄却かは別ですが。

投稿: 町村 | 2005/12/04 09:48

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