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2005/11/13

arret:winny資料流出に国賠責任なし

札幌高判平成17年11月11日
読売オンラインより

コメント欄で東馬さんが教えてくれましたが、札幌にしては非常に迅速に公開しています。

北海道警巡査が自宅の私物パソコンにwinnyを入れていたところ、ウィルスに感染し、そのパソコンにあったファイルが流出したという事件だが、流出ファイルのなかに捜査資料があり、しかも現行犯人逮捕記録などがあった。これによって情報を漏らされた江別市の男性が、国賠を求めたというもの。

一審は、捜査関係資料の保管管理という点で職務行為と一体となっていたとしたらしい。具体的な判決文を見ていないのでなんとも言い難いが、これに対して控訴審は、末永進裁判長の法廷だが、職務行為とは言えず、またウィルス感染も予見可能でなかったとした。

正確な判決文を見てみたいものだが、捜査関係資料で他人のプライバシーが丸わかりの情報を、winnyと同じパソコンに入れておくということ自体、過失だろう。

こんな感じでプライバシー流出が不問に付されるのであれば、個人情報保護法もいずれは骨抜きで空騒ぎだったということになりそうである。
それとも官の情報漏出は不問にするが民間の情報漏出は厳格に責任を問うということなのだろうか?>末永コート

追記:判決文では、警察署長の管理義務違反を認めつつも、情報漏出に対する予見可能性がないとした。
その理由だが、「過失の前提となる予見可能性は,結果発生に対する抽象的な危険を予見するだけでは足りず,加害者の行為から一定の経緯をたどって結果が発生するという具体的危険を予見することが必要である」ということである。
そして問題のウィルスが「ウイルス対策ソフトを扱う会社等一部のサイトに掲載されているにとどまっており,同月29日の京都府警における捜査情報の流出の新聞記事が出るまで,一般にはアンティニーGの内容が広まってはいなかったこと等」を総合すると、予見可能だったとは言えないという認定である。
これでは、結局ウィルス警報がでたり対策会社やMSやメーカーの警告が出ても、被害が発生して報道されるまでは気にしなくても責任を問われないということになる。
一般のパソコン、一般のユーザであればともかく、被疑者とされた人のプライバシーがつまった捜査関係資料を取り扱うパソコン(私物パソコンで捜査資料を持ち帰ることは予算の制約があって許されるそうだby判決文)のユーザは、より重い注意義務を負うべしという視点があるべきだと思うのだが、どうも末永コートの判決にはそういう発想が見あたらない。
 逆に、捜査機関がその程度のセキュリティ保持義務しか負わないということなら、自己のプライバシー情報は漏えいの危険が大きいということにもなるので、捜査機関への情報開示不協力を勧める結果となるようにも思われる。

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コメント

わたしも非常に気になります。
特に流出した原因を Winny だとすると「知られていなかったから」というようなことにすると、例えば自動車が電池自動車といった既存の使い方と違い一般化していな道具(技術)を使ったら、同じ事故でも免責されるとかなってしまう。
もちろん、高校生だったら「詳しいことがわっかって無い」とか「技術者だったら当然知っている」とかなってしまう。
故意か否かという判定と間違えてませんかね?

投稿: 酔うぞ | 2005/11/14 08:24

抽象的過失の中身、
それも予見可能性の有無を重視して
形式的に法適用をするとこうなるんでしょうが結論の
妥当性からすると疑問ですね。回避可能性を重視すると結論は変わったでしょう。(過失に関しては)
とここまで書いていたら、
判決文がでたようです。
町村教授が問題にしている「過失」は巡査の方だと思いますがこの巡査の方は「職務関連性」の要件で切られているので
判断されていないようです。
問題になっている「過失」は道警等の
不作為に基づく過失ないし管理責任でした。
ざっと見ただけですのでご自身でお確かめ下さい
URLを貼ろうとしたらコメントSpamと
みなされてしまいました・・・
せめて法律上の推定にしてください。

投稿: 東馬 | 2005/11/15 00:06

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