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2005/10/11

私法学会終了

昨日はシンポジウムの後、新幹線で帰宅したので、帰りは結構疲れた。
福岡から名古屋へは、名古屋行きというのぞみが19:22に出るので、フルに仕事をしてもその日に帰れる。

肝心の私法学会のシンポジウムだが、早稲田の先生方で固めた要件事実と民法学との対話をテーマとするところに出席した。
色々と疑問は禁じ得ない。
後藤先生の報告では契約の拘束力について法規説をとるというが、これはひょっとすると消費者法などの強い影響があるのだろうか?
 合意に法的拘束力があることの説明として、民法の基本原理に「合意は守られるべし」という原則があるからということであれば分かりやすい。しかし、個々の典型契約の冒頭規定がそれぞれの典型契約の拘束力の源となるという説明は、合意の類型論や合意の解釈、特に任意規定による補充などの話と、合意の法的効力の存在論とを混同するものではないか。
 第一法的効力の存在を実定法規に求めたら、非典型契約は生まれようがない。物権法定主義ならぬ契約法定主義に陥る。
 判例による法形成ということも少しいわれたが、これまた合意の解釈や合意に対する規制原理として判例が役に立つのはもちろんだが、そのことと合意の法的効力の存在論とは別物である。第一判例は法源か、というところから問題となる。

というようなことを質問したかったが、短い時間で質問用紙に書き込むのは困難であった。

平野先生の報告も、過失が規範的要件で、要件事実としては評価根拠事実と評価障害事実とに分けられるという考え方が支持できるということだが、そのように考えないとならない理由は不意打ち防止とか弁論主義をあげられるのみだ。
 しかしそれでは、主要事実と間接事実の区別の問題や弁論主義の適用範囲をどう解釈するかという問題で々にでもなる話なので、規範的要件それ自体を要件事実としてはならない理由になっていない。
 まして、現在の争点整理手続を経ることを原則とする民事訴訟制度も考慮に入れるべきだろう。

そして山野目先生の表見代理の話も、民法の基本的な考え方から要件事実構成を考えていくというのだが、有権代理と契約責任という本来の構成に対して、表見代理が異なる原理に基づいているというのであれば、両者は別個の権利ないし請求権として構成されるべきだという話につながるはずではないか。単なる再抗弁か予備的請求原因かという分類学だけなら、論じるに値しない問題にも思える。
 というようなことを質問したが、予想に反して請求権は一個だというので、拍子抜けに終わってしまった。

ということで、今回の私法学会は面白かったが欲求不満の残る内容であった。
企画はよいし、シンポジウムの準備作業の成果である単行本は極めて示唆に富むものなので、このテーマも今後の議論の進展に期待するところ大である。

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コメント

昨日の先生の質問(表見代理)について、帰路の飛行機の中で考えていたのですが、「表見法理でも、表見代理の効果は訴訟物を違えるまでには至らない」とは言えないでしょうか。

たとえば94条2項が請求原因として機能する場合、「表見法理」というのが「虚偽表示の傷のついた売買契約」の傷をいやすという働きかたではなく、それだけで別途の権利変動原因となるということだと、これが請求原因として働くときには予備的になり、そして訴訟物も別になるということになる。山野目先生のいう「リセット」にふさわしい事例です。94条2項の場合類推適用まで含めて考えれば、およそ外観があれば、そのとおりの効果を与えてしまえばいいからです(ただ、この場合の訴訟物ってどういう言い方をするんだろう。登記請求権とかだと「94条2項の類推適用に基づく物権変動的登記請求権」?)。

問題は代理の場合も「表見法理」ということから同じ結論を導けるかということです。94条2項の場合、「虚偽表示の相手方のもとに権利がある外観」ということにそのまま法律効果を与えるということだけで完結しますが、表見代理の場合、「代理人であるかのごとき外観」というだけで請求権が特定されるのではなく、「代理人と相手方との契約」というのが必要になりますよね。
いかに112条を表見法理の効果を生じさせる規定であるといえども「他人への効果帰属」というところを治癒するに止まり、代理行為の形式的要件部分-とくに代理人として行動したものと相手方との契約の部分までも創設するわけではない。
そうなると、この部分は引きずらざるを得ず、訴訟物としても「売買契約に基づく引き渡し請求権」ということで1つであり、攻撃方法が主位的・予備的になるだけであるのではないかということです。
ただ、これだと、112条を表見代理規定と考えないという立場とどう違うのかといわれると、的確な説明ができません。
まだ思いつきの段階で、つじつまの合わないところも出てくると思いますので、さらに考えてみたいと思います。


(追記)
ちなみに、要件事実の1巻で予備的請求原因としてあげられている例は表見法理が絡まないもの(賃貸借契約の終了原因が主位的・予備的になっている例)であり、紛争類型別であげられている例は、表見法理ですが予備的抗弁であって、いずれも訴訟物への影響が問題とならないものです。これが、先生が提起された問題(訴訟物に影響するのか)をあえて避けたものであるかどうかは村上教官にきいてみたかったですね(といっても、村上教官としては「そんな大昔の教材のことをいわれても」と当惑されるかも知れませんが)。

長くてすいません。

投稿: h | 2005/10/11 16:35

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