news:ヤフーニュース偽造
長崎県の男が謝罪電話とメールを共同通信・ヤフーに送り、軽い気持ちの愉快犯ということが判明したが、この動機は先のフィッシング犯初摘発といわれたYafooケースとも共通している。
サイトをまるごと取り込んで自分のパソコンに固定することは、普通のHTMLで書かれている限り、ボタン一つの作業であり、これを自分のサーバやレンタルサーバにアップすることもごく容易だ。
この長崎の人は5分でやったということだが、むべなるかな。
問題は、その容易性とともに、パロディとの境界線である。
他人のサイトと誤認混同させるサイトを作り出すこと自体は許されない行為であり、まして他の利用者から個人情報を取得するなどということは一字代えていたとしても許されない。
しかし、表現行為としてのパロディや諷刺は、対象物たる作品と似たような外見で少し変えた形式の中に、本物のデフォルメしたり特徴を誇張したりした作品を作り出し、対象作品のおかしさやいやらしさを際だたせたり、批判したり愛情表現したりする。
こうした行為がアナログ媒体で行われていた時代にも、マッドアマノ・パロディ事件のように著作権侵害に問われたことはあるが、模倣とデフォルメによる諷刺は漫画を中心に広く行われてきた。
今回の長崎の偽ニュースサイト事件も、記事の内容からして本人は一つの表現形式と考えていたのではないか。
もちろん記事の内容も趣味が悪いし、余りに似すぎていたのでは諷刺の役にも立たないわけで、この人を擁護するつもりではないのだが、著作権と表現の自由との緊張関係の一端をかいま見るような気がするのである。
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コメント
デザインやら画像やらを勝手に使用したYAHOOから怒られるのはわかるんですけど、
共同側がやられた勝手に名前を使って情報発信というのはどの程度の罪になるんでしょう。
なんだか、4/1とかで「○○によれば~」のような嘘ニュースが氾濫してたりするのを思い返すと怖いものです。うっかりやってしまいそうで。
投稿: サスケット | 2005/10/21 00:38
さあ、頼りになる弁護士さんが誰かフォローしてくれると思うけど、とっさに思いつくのは商売でやってる場合の不正競争防止法違反でしょうか。
第二条 この法律において「不正競争」とは、次に掲げるものをいう。
一 他人の商品等表示(人の業務に係る氏名、商号、商標、標章、商品の容器若しくは包装その他の商品又は営業を表示するものをいう。以下同じ。)として需要者の間に広く認識されているものと同一若しくは類似の商品等表示を使用し、又はその商品等表示を使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供して、他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為
二 自己の商品等表示として他人の著名な商品等表示と同一若しくは類似のものを使用し、又はその商品等表示を使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供する行為
(以下略)
その他、刑法233条の信用毀損、業務妨害なんてのも当たりそうだし。
投稿: 町村 | 2005/10/21 08:10
企業の情報や証券取引に関係する情報を、勝手に名前を使って情報発信して、事実と異なる情報を流すことや合理的な根拠のない情報を流すことは、証券取引法に接触する恐れがある。
「風説の流布」に抵触するおそれがある。
投稿: ケロリン | 2005/10/21 13:18
流されたのは中国軍が沖縄に侵攻したって情報だったと思いますが、中国株にでも影響しますか?
投稿: 町村 | 2005/10/21 13:22
一番立件しやすいのは企業名を騙った偽計業務妨害でしょう。これに対し「パロディの抗弁(正当業務行為)」が出される予感がします。
投稿: 鈴木一郎 | 2005/10/21 13:28
今回のケースは当てはまらないね。
あくまでも、自分の投資に有利になるようなデタラメな情報を流す行為などの場合に適用されるから、不正競争防止法違反、信用毀損、業務妨害で罰せられますね。
投稿: ケロリン | 2005/10/21 13:28
「パロディ」は、法律上保護されるべき「正当業務行為」の範囲内?
投稿: ケロリン | 2005/10/21 13:34
4月1日のウソニュース(動物園のパロディ)だと英国では正当行為とした判例があるみたいです。
投稿: 鈴木一郎 | 2005/10/21 13:48
日本だと、誤認混同をもたらしたら「パロディだったんですう」と言ってもアウトではないかと。
だからこそ、パロディとか諷刺とかの表現形式が保護に値するものだということを議論していく必要があります。
投稿: 町村 | 2005/10/21 13:54
パロディなどの表現形式(表現の自由)はある程度は保護されるべきだけど、著作権の問題もあるから、小倉弁護士に登場してもらいたいね。
投稿: ケロリン | 2005/10/21 14:15
マスコミ報道によれば,英米の偽サイト開設の犯人は,本モノがあるとは知らなかった,別物で新たな創作物だ,パロディだ,引用だ,風刺態様の表現だ,悪意の不在だ,とありとあらゆる弁解を考えるようです(特に米国の南海岸とニューヨーク州では)。
町村先生のご意見のとおり,本事例では,パロディの抗弁を出しても,一笑に付されて検事さんにも判事さんにも相手にされないしょう。
マッドアマノさんの作品とはわけが違いますからね。
投稿: 鈴木一郎 | 2005/10/22 11:33