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2005/10/18

decision:労災事故報告書に文書提出命令

最決平成17年10月14日

読売新聞とNHKの報道によると、労基署が作成する「災害調査復命書」が問題の文書であり、会社関係者からの聴取結果や、事故原因などに関する調査担当者の意見が詳しく記載されている。これを提出すると調査に支障があるというのが労基署側の拒絶事由だったが、最高裁は「労基署には、会社や労働者に必要な事項を報告させる権限があるから、報告書の提出により会社などの信頼が損なわれて調査が著しく困難になるとはいえない」との初判断を示した。

なお、「調査担当者の意見が含まれる部分は提出の範囲から外す」とのことで、原審に差し戻した。
原決定は名古屋高裁金沢支部、提出義務を認めた原々決定は金沢地裁である。

追記:
最高裁ウェブに判決文が載り、ようやくきちんと読むことができた。
それによれば、220条4号ロのうち、「公務員の職務上の秘密」とは,公務員が職務上知り得た非公知の事項であって,実質的にもそれを秘密として保護するに値すると認められるものをいうと解すべきという定義に当てはまる文書であることを認めながら、次の基準により提出を免れる事由があるとはいえないとしたものである。
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民訴法220条4号ロにいう「その提出により公共の利益を害し,又は公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがある」とは,単に文書の性格から公共の利益を害し,又は公務の遂行に著しい支障を生ずる抽象的なおそれがあることが認められるだけでは足りず,その文書の記載内容からみてそのおそれの存在することが具体的に認められることが必要であると解すべきである。
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これはかなり踏み込んだ判断であり、実質的に秘密として保護するに値すると認めながら公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがないと認められる場合を正面から認めた先例として重要である。

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