個人情報保護法へ正反対のアプローチ
最近の仕事の中で、消費者保護を中心テーマとする方面では、個人情報保護法による消費者の権利の拡大を追及している。
しかし他方で、表現の自由とプライバシーを考える方面では、個人情報について情報主体本人が強いコントロール権を発揮し、取扱事業者が個人情報秘匿に走ることに対する対策を考えている。
要するに保護法の定める個人情報取扱事業者の義務を、情報主体本人がいかにして効果的に強制していくか、それによって個人情報の濫用や流出に個人がどうやって対抗するかを考えるのだ。
私見のエッセンスは、個人情報について情報主体本人が有するコントロール権、これを前提にしたのが個人情報保護法なのであって、個人情報保護法によって自己情報コントロール権が作り出されたと考える必要はないという点にある。
これに対して情報流通の萎縮についても無視できないところで、保護・コントロールと表現の自由との調和に苦しむ羽目に陥っている。実際プライバシーを盾にした秘密主義は、至る所で目につき、透明な社会というコンプライアンスの基本も空洞化する危険にさらされている。
どちらも大事なことだから、しばらく苦しみ続けるよりほかに仕方がない。
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