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2005/09/20

jugement:職場のパソコンによるネット遊びを理由に解雇した事例

少し旧聞になるが、以下のような判断がでている。
福岡高判平成17年9月14日
朝日新聞の報道より)
勤め先の専門学校のパソコンで出会い系サイトに登録し、大量のメールをやりとりしていたとして懲戒解雇された元教員の男性(55)が解雇無効を訴えていた訴訟で、福岡高裁は14日、解雇は無効とした一審・福岡地裁久留米支部の判決を取り消し、元教員の訴えを棄却した。石井宏治裁判長は「メールをする労力を仕事に充てていれば一層の効果が得られたはずで、職務専念義務違反に当たる」と指摘した。
判決によると、元教員は職場のパソコンで、複数の出会い系サイトに登録。パソコンには98年9月から03年9月までに受信メール約1650件、送信メール1330件の記録があった。このうち送受信とも800件以上が出会い系サイトや女性とのやりとりで、ほとんどが勤務時間内の送受信だった。元教員は03年9月に解雇された。

この報道内容をそのまま受け取れば、「職務専念義務違反」ということで勤務時間内の出会い系サイト利用、メール送受信が解雇事由になっている。
1600件とか1330件とかずいぶん多いようだが、これは98年から03年までの5年間の記録であり、それほど多いと言うほどでもないであろう。
ましてや800件以上が出会い系といっても、せいぜい2〜3日に一件のやりとりをしていたにすぎない。
これが、過去1年間にこれだけやっていたので目に余るからということであれば、(それでも一日二、三通だからこのブログの更新回数と同じくらい)職務専念義務違反もやむを得ないかもしれない(私もアブナイ?)が、上記の記事の限りではどうなのか全く分からないであろう。

にもかかわらず、1600件とか1300件とかの数字を並べられると、洪水のように出会い系にのめり込んでいたような印象を受けるから、新聞記事を読むのは気を付けねばならないのだ。

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法律・裁判」カテゴリの記事

コメント

仕事中にネットで遊ぶようなことをするのはいけないよねー。

会社によっては会社の資産を私的に利用することを制限していると思います。

この勤務先ではどういった規定があるのか知らないけど、ウイルスに感染した私的なメールを受信する可能性は低くはないから、元勤務先としては、会社のサーバーがウイルス感染するリスクにさらされたとして解雇は当然の処置じゃない。

投稿: koneko04 | 2005/09/21 13:28

勤務中は
会社からサラリーが支払われる
わけですから業務のために
動くのは当然のこと

サラリーを受け取りながら
私的部分に費やしそれも
会社の備品で、、となれば
解雇は当然のこと。

日本人のお仕事に対する姿勢の
甘さですかね?
その解雇に不満を感じるほうが
変ではございませんの?

投稿: westcoast | 2005/09/21 13:34

そりゃま、一般論としてはおっしゃるとおり。

でもこの事件の当事者がどういう就業規則になっていたのかはわからないし、また他の先生たちがどうだったのか、メールが具体的に問題となっていたのかどうかもわかりません。
ただ、あの800件という件数がいかにも大量だから、仕事をおろそかにしていたのだろう、というニュアンスの記事でしたから、件数だけであればそうはいえないだろうと書いたわけです。

会社の備品で勤務時間中に私用メールはいけないというのは当然のことだとおっしゃいますが、それは勤務形態によるわけです。専門学校の先生の勤務形態がどうなのかは、この記事からはわかりません。

投稿: 町村 | 2005/09/21 16:44

勤め先の専門学校と
あるじゃないですか?
その専門とは出会い系?

ご自分がなにをしに
勤め先に来ているのか?
を考えれば、、出会い系に、、
そんな馬鹿なといいたくなりますけど、、。

投稿: westcoast | 2005/09/21 17:10

争点は
労基法18条の2の解雇権濫用の法理
が適用されるかでしょうか

>この勤務先ではどういった規定
少なくとも出会い系メールをすることを
禁ずるといった趣旨を含む規定はなかった
でしょうね。あるならば職務専念義務
を持ち出す必要性がそもそもないと
考えられます。

>会社からサラリーが支払われる
わけですから業務のために
動くのは当然のこと

判例の職務専念義務のとらえ方と同旨
だと思います。


>サラリーを受け取りながら
私的部分に費やしそれも
会社の備品で、、となれば
解雇は当然のこと。

横領など法に触れるのならばともかく
一審が認定したように労働自体に
被用者の債務不履行(帰責自由)がないと
労務契約に違反はしていないですから
解雇の理由jはないことになります。
信頼関係破壊の法理の射程の問題
とにてますね。

興味深いのは職務専念義務というのが
これまでの主流だった労働組合関係以外
で用いられていることでしょうか。
ここからは推測の域ですが
出会い系メールをしていることは
他の職員のモラル・士気をみだすものである
ばかりか、反社会的?な行為である。
これは会社自体の公序も乱すものである
ならばそれを基にした解雇は客観的に合理的な理由を欠くことはないことはいうまでもない。

仮にこのように考えた場合
職務専念義務に違反したから
解雇の理由があるとされるには
①その行為が他の職員、及び会社にも
悪影響を及ぼすものであること。(程度)
②その行為自体が反社会性を持つこと(質)
という要件でまとめられ

これを町村教授のブログについて考えますと
①はわかりませんが、②は所属されている
大学の悪口雑言を並び立てたりしない限り
解雇は正当とされることはないと考えます。

(あくまで推測です)

投稿: 東馬 | 2005/09/21 17:17

ありがとう>東馬さん

投稿: 町村 | 2005/09/21 23:11

なんかおかしいぞ~
例えばDr.Machimuraが
大学内で

教授業タイムに講義をせず
まったく無関係な
出会い系サイトを開いてそれに熱中
していたら、学生さんは?
大学側は?

なんだか解雇された側をしきりに
庇うような、、ほほほ
同じことをされてますの?

これって名誉毀損かな?


投稿: westcoast | 2005/09/21 23:19

>westcoastさん

先生は、もともと、このエントリーで、新聞報道の印象操作を問題にしているわけで、別に、出会い系サイトをやってよいとか、そういうことをネタにしているわけではありません。

ですので、先生は、このエントリーで解雇された側をあまり庇うというつもりはないと思います(推測ですが)。

基本的には、この解雇された人を庇うのではなく、この事例を一般化した議論をしているとおもうのですが??

投稿: こう | 2005/09/22 00:27

わたくしもですわよ
一般論として、申してますの
勤務中に私用で会社のPCを使う
非常識さについて述べてますの
出会い系云々は

そのケース情報に
載っていたでしょ?
だから申したまでですけど。


投稿: westcoast | 2005/09/22 06:04

この事件の解雇を正当とする理屈は、東馬さんもwestcoastさんも「出会い系」だから、という点を重視されていますね。
westcoastさんはもう一つ、勤務時間中の私用メールは悪という見解です。

このうち出会い系だから、という理由付けについては、それが売春などの違法行為や違法でないまでも非倫理的な行為で職場に悪影響を及ぼす行為であれば、解雇の理由として正当かもしれません。でもMIXIなんかも一種の出会い系サイトですから、そういうのまで含めてしまうと、出会い系と一概にいっても様々で内容をみてみないとわからないということになります。
 もう一点、職場に悪影響を及ぼすおそれがあれば、と書きましたけど、実際に悪影響があることが必要なのではないかと思いますけども。

勤務時間中の私用メールの問題は、一つにはそれが禁止されていたのかどうか、就業規則等に示されて、周知され、かつそれが一般的には守られていたのかどうかがまず問題でしょう。
次に私用メールの程度もやはり問題で、私用電話と比較して考えてみるとわかりやすいと思います。
電話一本かけただけで解雇というのは重すぎるでしょうが、それが毎日のように、長電話で上司が注意してもやまず、割り当てられた仕事も支障が現に生じていたという場合は、立派な解雇事由でしょう。
1600本の私用メールという数は、目に余るモノを感じさせるわけですが、それが5年間の蓄積だということになると、うーむ、それだけで解雇に値するモノなのかなという疑問がわいてくるわけです。
ただ、具体的な事情として、以前からしばしば問題となっていたのにやめなかったとか、メールのやりとりに夢中になって授業をすっぽかすとか、そういった事情があれば、解雇も正当だろうと思います。

そういうわけで、一般論として私用メールを禁止することに反対するわけでもないし、秘密保護やウィルス等の対策のため厳守させたりモニターしたりすることも、従業員が知らされているなら許容されるだろうと考えていますが、解雇にまで至るのは、それなりに重大な違反と評価するだけの事情が必要です。
少なくとも「5年間に1600本もの私用メールを勤務時間中に勤務先のパソコンでやりとりし、しかもそのうち800本は出会い系でした」というだけでは、色々な事情があり得るし、数自体も冷静に考えれば大したことないといえるでしょうから、直ちに解雇が正当とはいえないというわけです。

こうさんが書いてくれた印象操作的な記事の問題がエントリの趣旨でしたが、解雇の当否それ自体を問題にするなら、上記のように考えてます。

ま、確かに庇っているかも。

投稿: 町村 | 2005/09/22 08:59

>ま、確かに庇っているかも。

お利巧さんね
ちゃんとお認めになり、ほほほ
^^:)

投稿: westcoast | 2005/09/22 10:55

落合先生のiPod発言のような事態になりましたね。

町村先生が新聞の報道の仕方は煽りのような感じだとおっしゃっているのはわかっていたけど、そのあたり、アタシのコメントがあったがために話題が別の方向に行ったみたいね。

今後、日本の会社などでも社員のインターネットの私用時間を監視するプロセスなどが出来上がるのかな。

アメリカは結構そういうのうるさいみたい。

投稿: koneko04 | 2005/09/22 12:01

既に日本でもいくつか裁判例はありますし、会社は、特にコンブライアンス大事にする会社ほど、社員のインターネット利用に禁止やモニタリングを設定しているところが多いようです。

投稿: 町村 | 2005/09/22 16:41

>今後、日本の会社などでも社員のインターネットの私用時間を監視するプロセスなどが出来上がるのかな。

町村教授が言われていることと関連しますが
この監視行為は、すでに
表現の自由との関係で問題になっているようです。

http://itpro.nikkeibp.co.jp/free/ITPro/NEWS/20020913/1/
http://www.soi.wide.ad.jp/class/20030038/slides/55/11.html

投稿: 東馬 | 2005/09/23 01:50

会社側が早めにIGシリーズを投入すれば、こんなにならないのにな~
 

投稿: 解決済み | 2007/11/03 18:40

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